初老人たちの台中旅行
2011.3.23−記
第1日目 台北に到着 台中に到着
第2日目 鹿港へ遊ぶ 鹿港の市内探検
第3日目 建国市場から市内へ
第4日目 台鐵で台北へ 雨中居のトップに戻る


第1日目−2   台中に到着 
 
 ホームは3階で、2階にも道路が接続し、タクシーなどが客待ちしている。
しかし、2階の客待ちはモグリらしく、正しいタクシー乗り場は1階らしい。
改札階からエスカレーターで1階へと向かう。
北口と南口の両方で、タクシーが客引きをやっている。
さてどちらにしたものか迷ったが、近いほうへと向かっていく。

 黄色の小型車が、ずらっと客待ちをしている。
案内のオバサンもいる。
安心して乗ろうとすると、定員が4人だという。
すると6人乗りの運転手が、俺の車なら1台でOKだと顔をだしてくる。
普通乗用車は定員4人だが、3列シートのミニバンは定員6人なのだ。
ではということで、ミニバンのタクシーにのる。
これがトヨタのカムリだった。

台中駅のタクシー乗り場

 ホリデイ・インのホテルのバウチャーを見せても、ホテルがどこにあるか分からないようなのだ。
運転手は仲間に聞くが分からない。案内のオバサンも参加して、にぎやかな討論会になった。
すると運転手は分かったような顔をして、車を発車させた。
しかし、ちょっと走っただけで、車を停めてケイタイをとりだした。
そして、どこかに電話を繋いで、ケイタイをボクのほうへと手渡すのだ。

 ケイタイからは流ちょうな日本語が流れてきた。
ボクはホリデイ・インというが、相手もホテルがどこにあるか分からない。
住所がローマ字で書いてあるので、アルファベットを読み上げるが、これが通じない。
運転手がアルファベット表記の住所を理解できないのだ。
いつの間にかタクシーは走り始めたが、運転手は走りながらケイタイをかけまくっている。
何度かケイタイでやり取りしているうちに、ホテルの場所が分かったらしい。
おとなしくなった。 

 運転手は、仲間の運転手に聞いたからOKだという。
しかし、今考えてみると、互いに言葉がまったく通じないのに、なぜ仲間の運転手に聞いたと、ボクが理解できたのだろうか。
不思議である。
運転手はもう大丈夫という顔をして運転しているが、ボクたちは初めての街で不安になってきた。
こちらが道を知らないことに、遠回りしているんじゃないだろうか、と疑心暗鬼が芽生えた頃、ホテルの看板が見えてきた。

ホリデイ・インの正面玄関
バスルームからシャワーブースを見る

 建物全体がホテルではなく、3〜6階までと11〜12階がホテルで、他の階はアウトレット店になっている。
普通のビルと変わらない外観である。
たしかに地味なホテルである。
小さなホテルだから分からなかったのだろうか。
しかし、建物の上のほうには、ホリデイ・インというサインも出ているのだから、運転手なら知っていて欲しかった。
メーターは450元を指している。

 建物外観がホテルらしくないので、一応フロントを確認するために建物の中に入ってみた。
小さなロビーの先にフロントがあり、男女2人の若者が迎えてくれた。
しかも女性のほうは、きれいな日本語を話す。
ヤレ安心である。
新幹線の台中駅からここまで、タクシーの値段を聞くと、250元くらいだという。
やっぱりと思って、彼女に交渉してもらう。
すると、こちらの指示が悪いからだ。
メーターどおりに払えと運転手はいう。

 1元は約3.3円である。
450元は約1500円。
5人も乗って、かなり走ったから、仕方ないのかと諦める。
まあ無事にホテルに到着である。
前2回の旅行では、飛行場からホテルまで一直線にきたので、こんな心配はなかった。
でも、これが本当の旅行だろうと、また勇気がわいてくるのだった。
バウチャーを見せてチェックイン。

 シースルーのエレベーターは道路側にあって、街を見下ろしながら登っていく。
我々の部屋は、11階だった。
エレベーターを降りるとロビー。
その向こうには吹き抜けが見える。
この建物は、1階のレストランを中心にロの字になっており、中央が最上階まで吹き抜けている。
外部に面した側には、もちろん部屋があるが、吹き抜けに面しても部屋が取られている。

 この吹き抜けのために、全室に自然光が入る設計になっている。
そして、吹き抜け側にはベランダのような廊下が廻っており、二方向避難がはかられている。
とても良い設計だが、我々の部屋は吹き抜けに面している。
反対側から室内が見えてしまうので、窓のカーテンが開けられないのだ。
これは仕方ないが、及第点ではない。

 日本のホテルに比べれば、天井は高いし清潔で充分な設えである。
アメリカ式の合理主義が徹底している。
しかし、スモーク・ガラスで囲まれたバスルームには浴槽がない。
トイレと洗面台、それにシャワーがあるだけだ。
それよりも驚いたのは、バスルームに入る扉が、シャワー・ブースの扉を兼ねている。
そのため、バスルームの扉を閉じると、バスルームがシャワー室と一体となるが、扉をシャワー室のほうへ閉めると、トイレと洗面台が部屋と一体になってしまう。

 シャワー・ブースには曲面のスモーク・ガラスを使っており、それなりお金がかかっている。
一枚の扉を節約したくて、兼用の扉にしたとは思えない。
扉自体もスモーク・ガラスで、おそらく強化ガラスだろうから、それなりの金額はする。
普通に壁を立てれば、もう一枚扉を入れても、はるかに安かっただろう。

 ヒルトンやシェラトンはどこの国で泊まっても、あるレベルのサービスを提供する。
アメリカ式のホテルは、世界中でスタンダードをもっている。
ホリデイ・インもアメリカン・スタンダードをもっているはずだから、扉の一枚を省略するのも、本社の決済が必要であろう。
我が国のホテルで、この提案が通っただろうか。
こうしたかったんだという設計者の強烈な意志を感じた。

台中公園を見る

 台中へ来るという目的は決まっていたが、きっちりとした予定があるわけではない。
荷物を解くと、まずは夜市に行こうということになった。
ガイドブックによると、もっとも有名な夜市は逢甲夜市らしい。
ホテルのフロントで聞くと、逢甲夜市は遠いという。
近くにも夜市があるからと、そちらを薦めてくれる。
歩いていけるというので、今夜はそちらに行くことにする。

 夜市の屋台で、ビールを飲みながら地元の食事をするイメージができあがっている。
いざ出発。
かつては中山公園と呼ばれた台中公園の脇を歩き、大きな駐車場の角を曲がる。
ドッとにぎやかなネオンサインと看板。
おー、夜市にきたと感激。
まず食事と、屋台を探すが、それらしき物が見あたらない。

 圧倒的な人出。
若い人ばかりである。
日曜の夜だからだろうか。
とにかくの人出である。
彼(女)らは買い食いもしている。
夜店には食べ物屋もある。
しかし、多くの夜店はお菓子のような物しか売っていない。
香港ならどこにでもある屋台で食事をする風景がない。

 店先でおでんの具のような、蒸し物のような物を売っている店を見つけた。
テイクアウトの人も多いが、店の中ではそれを食べさせてくれるらしい。
もっとリッチな食事をしたかったが、とりあえず入ってみる。
入り口で指差ししながら、具をお皿に盛ってもらう。
同じ店の左側には、麺を売っている。
具を指定してドンブリに入れ、すると麺をいれて席まで運んでくれるというシステムだ。

夜市への入り口の風景
夜市の風景

 おでん組は3皿ばかり頼んできた。
ボクは麺入りを頼んだつもりだった。
しかし何と、頼んだドンブリは具だけででてきた。
麺の入っていない五目ラーメンのような感じである。
麺は麺で別に指定しないと、麺抜きになってしまうようだ。
そう言えば、麺といっても、さまざまな種類がある。
太いのも細いのもあるのだ。
それに具だけでも充分に食べられる。
麺を食べるのが主で、具はその味付けというのは、ここでは違うようだ。

 とにかく口に入れてみる。
むー、ちょっと甘い。
やっぱり、ビールがなくちゃね、とばかりにビールを頼む。
しかし、しかしである。
ビールはないという返事。
えー! と驚くと、廻りでは誰もビールを飲んでいない。
そんな…。
仕方なしに、おでんもどきをつまむ。
まずい訳じゃないのだけど、これが夕食じゃ充実しない。
ブツブツ言いながら、食べ終わる。
全部食べているから、決してまずかった訳じゃないが、期待が大きかっただけに不完全燃焼である。
充実しない。

 夜市を冷やかしながら、ひたすら食事のできる店を探す。
ホテルの近くには火鍋屋があったけとか、思い出しながら捜すのだが、なかなか見つからない。
雑貨屋さんが多くて、食堂は少ない。
これだけ人がでているのに、どうしたことだと不思議に思う。

 夜市から離れ、別の方向へ歩き出す。
まるで灯りに誘われる蛾だね、ボクたちは。
明るいほうへ行けば、何かにありつけるだろうと思っているのだから。
小さな鍋をコンロに乗せて、テーブルで食べさせる店があった。
店の中に入って、ぐるぐると見まわす。
何だかよく判らないけど、ビールはあるかと聞くと、ないという返事。
えー、えー!!!! なんでビールがないの!

 それじゃ他を捜そう。
しかし、このあたりには、ナベ屋さんしかない。
若いお兄さんがやっている店にいくとビールはないけど、自分が買ってくるという返事。
一同は感激して、この店に決定。
さて何にするか。
看板の写真を指差ししながら、臭臭豆腐を薦めてくれる。
じゃそれを入れて、3種類ほど頼んで、歩道上のテーブルに座る。
もちろん、忘れずにビールを頼んだ。

 風が吹いて、やや寒いテーブルで待つこと5分。
近所のコンビニに走ってくれた若者が、ビールをもって登場。
台湾ビールという缶ビールがテーブルに並ぶ。
まずは乾杯である。
やがてナベも運ばれて生きた。
注目の臭臭豆腐である。
たしかに名前どおりに妙な臭いがする。
豆腐ではあるが、舌の上では不思議な味が広がる。
マズイというわけではないが、きわめてクセが強いのだ。

 翌日に街を歩くと、臭臭豆腐の看板が目に入る。
おそらく外国人の納豆なのだろう。
ちょっと堅めの豆腐なのだが、それからボクたちのテーブルに登場することはなかった。
それにしても、ここでもビールがないとは、いったい台中の人は食事時にビールを飲まないのか。
不思議な気分で食事を終えた。

 帰り道は、台中公園の反対側を歩いて帰る。
缶ビールだけというのが、どうも心残りである。
すでに9時を過ぎた帰り道、スーパーマーケットによって、いろいろと買いこんできた。
ウィスキーを忘れずに買ったのは言うまでもない。
ホテルに帰って、明日の計画を打合せながら、ウィスキーの酔いと共に夜は更けていった。
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