初老人たちと若者のクロアチア旅行記
2013.6.−記
第1日目 ザグレブに到着
第2日目 ザグレブ市内−午前中 ザグレブ市内−午後から
第3日目 シュベニクへ
第4日目 シュベニク→スプリット
第5日目 スプリットは城壁内
第6日目 城壁内から市外へ
第7日目 スターリ・グラード往復
第8日目 スプリット→ドブロヴニク
第9日目 ドブロヴニクの城壁内
第10日目 ドブロヴニク→ザグレブ
第11日目 ザグレブを出発 雨中居のトップに戻る


第1日目   ザグレブに到着  


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 毎年、早春にアジアの近場へと旅行を楽しんでいた5人の初老人たち。今年はちょっと様子が違った。メンバーKの娘夫婦が世界一周旅行をしており、彼女はその娘夫婦に旅先で合流するという。それがクロアチアだった。名前こそ聞いたことがあるけど、どこにあるのだか判らない国だった。

 初老人5人と2人の若者とで旅することになった。一度は5人分の航空券を押さえたものの、そこは初老人たちの悲しさである。メンバーTの父親が危篤になってしまったのだ。T夫婦は泣く泣くキャンセルということになり、初老人は3人組となってクロアチアへの飛行機に乗ったのである。


 5月20日の11時15分に、成田発のオーストリアン航空でウィーンへと向かう。このオーストリアン航空は、機体にはオーストリアン航空と書いてありながら、TYROLEAN AIRWAYSが運航しているとか。しかも、ルフトハンザとも共同運航というのだから、よくわからない。と、そんな疑問はさらりと忘れて、長い長い飛行時間にうんざりするのであった。

 この飛行機会社、食事は美味しかったし、お酒もふんだんに出してくれた。真っ赤な制服の客室乗務員は、とても大柄だったけど笑顔が自然で、日本航空の引きつった笑顔とはちょっと違う。しかし、長い搭乗時間。とうとう4本も映画を見てしまった。それでもまだウィーンに着かないのだ。
 ほんとうに飽きた頃、やっとウィーンのシュヴェヒャート国際空港に着いた。ウィーンと言えば有名な街。そこの飛行場と言えば、それなりの規模を想像していた。しかし、国際空港とは言っても小さな空港だった。ここで乗り継いで、クロアチアの首都ザグレブへと向かう。
 
 オーストリアからクロアチアへの飛行だから国際線には違いないが、飛行時間は45分とすこぶる短く、機体も2列3列のクロアチア航空の中型機になってしまった。定刻にザグレブに到着。じつに長閑な飛行場である。滑走路の向こうに見える丘陵に、牛が遊んでいてもおかしくはない。社会主義の名残か、女性入国検査官が不機嫌そうな態度である。やや暗い照明の雰囲気の飛行場で、バッゲジクレームの台も2列だけだった。

 飛行場にはKの娘が迎えに出てくれていた。初めての国で、飛行場からダウンタウンへ向かうのは心細い。いつもそうだ。しかし、今回はKの娘が出迎えてくれたので、何となく気が楽である。まったく警戒心もわかなかった。
 ただちにシャトルバスで市内へと言うとこだが、このシャトルバスなかなか発車しようとしない。大型バスに10人くらいの乗客を乗せて、15分くらいたってやっと市内へと向かった。 

 道路は対向二車線が多く、走行量もそれほど多くはない。30分も走っただろうか、ザグレブ市の外れにあるバスターミナルに到着。ここでシティバンクの銀行カードで現地通貨を引き出す。1000クーネが¥18,248−だったのは、帰国してから判ったこと。もう一つ判ったのは、クレジットカードでの買い物のほうが、円高に振れた影響でレートは良かったことだ。そこから、タクシーで市内の宿へと向かう。

 今回の旅は、Kの娘夫婦がいるので実に気が楽である。シャトルバスの切符を買うのから、タクシーの交渉、宿の予約まですべてやってもらった。感謝、感謝である。

宿の前の道から

 ザグレブの街は北側に小さな旧市街があり、一段低くなった南側に新市街が広がっている。新市街には路面電車が走っている。旧市街は石畳の舗装が多く、タクシーが石畳の坂道を上り始めた中ほどに我々の宿があった。旧市街の西側で、市庁舎のすぐ近くだった。

 道路に沿って建物がくっついて建ちならぶヨーロッパ風の街並みに、ガラリの窓から室内の様子がうかがえる。玄関扉の脇にある呼び鈴には、4軒分の名前が書いてある。そのうち、アパートメントと書かれたのが、我々が泊まる部屋である。玄関扉を開けると、かつては馬小屋だったと思われる場所に入る。もちろん今では車が止まって車庫になっている。そこから中庭が見え、典型的なヨーロッパの都市型住宅である。

 今回の旅行は、Kの娘夫婦が宿の手配をしてくれており、じつに楽ちん克つ快適だった。しかも、https://www.airbnb.jp/をつかっているので、宿が普通のホテルやペンションとは違うのだ。どう違うかというと、普通の住宅なのである。
 使わない部屋のある人が、ネットに案内をだす。すると、それを見て、旅行者が申し込むのだ。そのため、部屋借りと言うより小さなアパートを借りる感じである。風呂・トイレはもちろん台所まで付いている。もちろんベッドをはじめとした家具もそろっており、ベッドには清潔なシーツがしつらえてある。そして、厨房にはテーブルや食器がそろっており、それを自由に使っても良いのだ。洗濯機や冷蔵庫もあり、長期滞在には最適である。Wi-Fiがつかえるので、きわめて便利である。そして、簡単な掃除をしてチェックアウトということになる。大家さんが同じ棟に住んでいたりするが、客に干渉することはない。

 最近、ネットでは様々な部屋貸しが行われており、まったく無料で泊めてくれるものもある。今回利用したのは有料ではあるが、普通のホテルにくらべるとずっと安い。部屋単位で借りるわけではないので、とくに今回のように5人もいると、安くなることこの上ない。しかも、厨房で自炊もできるので、レストランでの出費も抑えられる。

 世界一周をしているKの娘夫婦たちにとっては、出費を抑えたいところだろうから、自炊ということになるのは当然である。しかし、初老人たちは短期旅行で、しかも現地の食事を楽しみにしている。われわれには海外旅行に行ってまで自炊生活をするつもりはないから、Kの娘夫婦たちを外食に連れ出すことが多くなった。

 ザグレブ到着の初めての夜は、Kの娘夫婦たちが夕食を用意してくれていた。スパゲティにサラダだったが、飛行機中にいたので充分な食事になった。その晩は、親子の話を中心にして、ワインを飲みながらの話し講で時間が過ぎていった。

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