団塊たちのソウル
2009.4.5−記
第1日目 金浦空港まで ソウル、第1食目
第2日目 お巡りさんと青瓦台 老人公園、宋廟、焼き肉
第3日目 南大門市場から韓屋マウルへ 民家と高層アパート
第4日目 犬の肉を食べにいく 雨中居のトップに戻る


第1日目   金浦空港まで  


 1995年にソウルを訪れて以来、14年ぶりの再訪である。
前回は1人旅だったが、今回は6人の団体旅行である。
韓国人の友人Aさんが、飛行場に迎えに来てくれ、最後の日まで面倒をみてくれた。
3泊4日。
Aさんに感謝、感謝である。

 還暦をすぎた6人の老人が、男女3組でソウルに遊びに行く。
何となくボクが幹事になってしまった。
パック旅行もさがしたが、なかなか適当なものがない。
そこで、飛行機の切符とホテルを別にとることにした。

 ホテルは前回の記憶を思いだして、YMCAホテルを候補に決めて、Aさんをつうじて調べてもらった。
YMCAホテルは古いが、旧市街の町歩きには便利な立地である。
レトロな建物も、気に入っていた。

 Aさんの電話によると、シングルが5万ウォン、ツインで8万ウォンという。
レトロであっても、抜群のお値打ちである。
しかも、大々的にリニューアルされており、きれいなホテルに変身しているという。
YMCAホテルに予約してもらった。

 飛行機の切符は、ネットで捜した。
すると、ずらーっと、たくさん出てくる。
安いものは、2万円以下のものもある。
しかし、安いチケットは成田発で仁川空港着。
しかも夜遅く出発し、早朝に帰国というスケジュールである。
これでは、ソウルでの時間が少ないし、成田や仁川飛行場往復の費用が馬鹿にならない。

 小金持ち老人たちの旅行だから、時間を優先し、あまり安さには拘らないことにした。
そこで選んだのが、羽田・金浦空港往復のアシアナ航空である。
これだと、ソウルでの時間がゆったりしており、ソウルで遊ぶ時間が長くとれそうだ。

 ネットで切符を買うのは初めてだった。
自分の分だけなら気楽だが、あと5人分。
キイを叩くのには、指が縮んだ。
だって、名前や生年月日、パスポート番号などを叩きまちがえると、飛行機に乗れなくなるって書いてあるのだ。
5人のうち誰かが、飛行機に乗れずに、羽田空港で足止めということになったら、ボクの責任だろう。

 そう考えると、自然と指がこわばってしまった。
いつになく緊張して、目を凝らしてモニターを注視して、慎重にキイを叩いた。
入力し終わって、やれやれと思っていると、旅行代理店から性別が違うのではないか、と問い合わせの電話があった。
間違いがあったのだ。

 問い合わせのとうりで、女性のはずを男性として入力していたのだ。
指摘されてよかった。
これが羽田空港でわかったら、彼女だけ羽田に残ることになる。
おそらく今後の友人関係は、もはや消滅したであろう。
といった冷や汗をのこして、羽田を出発したのは、3月21日土曜日の昼頃だった。

  アシアナの機中ではお昼ご飯もでて、優雅にビールなんて飲んでいた。
飛行機は順調にとんで、2時間ほどで金浦空港についた。
地下道の映画看板

 ボクは日本の公安調査庁から、韓国の国軍機務司令部に、北朝鮮のスパイだと売られた身である。
金浦空港では、別室に案内されるのではないかと、韓国への入国には、ちょっと神経質になった。
 ボクだけ入国できずに、そのまま国外退去になったらどうしよう。
そんな心配は無用で、無事に入国できた。
やれやれである。
ほかの5人は、ボクの心配などどこ吹く風だった。

 ボクは国境を越えることには、いつも神経質になる。
自国民であれば、入国させるのは当然だが、外国人には入国の自由はない。
国家権力のまえでは、外国人はまったく無力なのだ。
好ましくない人間を入国拒否にしても、国家はまったく痛痒を感じない。
外国旅行では、ヒリヒリした感じを味わってきたので、国家や国境には神経質になるのだ。

 入国審査さえ済んでしまえば、もう大丈夫。
バッゲジクレームで荷物をとって、税関にすすむ。
韓国では課税対象の申請物がなくても、税関申告書を提出しなければならない。
(帰国時にわかったが、我が国もそうなっていた)未記入だったボクは、引き返してカードに記入する。

 しかし、カードを差し出すときには、税関の役人はお喋りに夢中で、こちらにはまったく関心がない。
カードを受け取ろうともしない。
税関申告に該当しない者の税関申請は、これが世界の標準だろう。
書いたカードをそのままもってきても、何の役にも立たないから、近所のカウンターのうえに置いてきた。

 税関をでると、Aさんが迎えに出てくれていた。
全員を引き合わせて、紹介する。
6人+Aさんで一塊りになって、階段を下りて地下鉄へと向かう。
やや薄暗い地下道には、動く歩道がある。
飛行機から降りて、ここに至るまでには階段があったり、車椅子の1人旅には厳しいだろう。
リニューアルされたとはいえ、全体に設計が古く、仁川飛行場ができたことがよくわかる。

 動く歩道から見える景色は、ちょっと前の新宿サブナードといったところだろうか。
グレーの大理石が壁に張られており、これが暗い印象なのかも知れない。
仁川飛行場を見たかったが、設計の新しい仁川飛行場は、おそらく香港の新空港にも負けないだろう、と思いつつ地下鉄の切符売り場に到着する。
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