ケーブルカーに乗ろうと、並んでいる人たちだが、ケーブルカーが到着すると列を乱して割り込もうとする。
地下鉄では列を乱さなかった香港人が、どうしたことだろうか。
先進国の人は割り込まないのに、途上国からの人だろうかと、ちょっと怪訝に思う。
後ろ向きに座ったまま、ケーブルカーが降りていく。
不思議な感じ。
ケーブルカーに乗ったところへ戻ってきた。
乗り場には大勢に人が密集している。
ビクトリア・ピークは、夜景が素晴らしいのでも有名で、100万ドルの夜景といわれた。
そのため、夜にかけて、ビクトリア・ピークに登る人も多いらしい。
ケーブルカーの駅前から、タクシーにに乗って、骨董街へと向かう。
香港のタクシーは、定員が前のバンパーに書いてある。
タクシーは圧倒的にクラウンのクルーで、トヨタの独壇場である。
ということで5人定員だから、全員が1台にのりこむ。
骨董街で下車。
あたりは高級な骨董品が並ぶ、青山の骨董通りのような感じ。
ちょっとお呼びじゃない。
ボクたちがめざすのは、ガラクタの骨董品なのだ。
しかし、めざすガラクタ骨董街が見つからない。
ぶらぶらと歩いていると、細い路地が骨董街の入り口だとわかる。
裏側から来たので、判りにくかったのだ。
500メートルくらいだろうか、屋台やら小さな店やら、ガラクタを売る店が並んでいる。
こうした店が楽しいのだ。
たいがいの商品には、値札が付いており、根切り交渉は簡単である。
ふつうのガラクタ市は、値札が付いていないから、最初に口火を切るのがたいへん。
うっかり高い値段で交渉をはじめると、高いままでなかなか下がらない。
下がっても、結局高い物を買わされる羽目になる。
ここは楽である。
瀬戸物の箸を買おうと、交渉をはじめる。
最初の店では、2本1人前で、10香港ドルという。
次の店に行ったら、8本、4人前で、30香港ドルという。
高いというと、25香港ドルに下げた。
「あなたは何て美人なんだ」といったら、20香港ドルになった。
お互いににやりと笑って、交渉成立である。
毛沢東グッズがキッチュで面白いけど、買っても使うアテがないので見るだけである。
夜店のような楽しさで、何軒かの店を冷やかして歩く。
ノミの市はどこにでもある。
赤いお札に、金文字を書く人がいて、お金がたくさん入ってくるように呪文を書いてくれる。
外国人観光客も多く、ガラクタに興味がある人には、楽しい場所である。
近所のお茶屋さんによって、お茶をご馳走になりながら、少しだけ花茶を買った。
地下鉄で尖沙咀(チィムシャッツィ)へもどる。
尖沙咀駅はもう慣れたものだ。
迷うことなくD1の出口へと向かう。
さて、最終日の夕食、何を食べようか。
コンテストで賞を取ったという、高級な店を選んだ。
ロイヤル・ガーデン・ホテルの地下にある帝苑酒家にいく。
尖沙咀のはずれにあるから、歩いていくことにする。
夜のとばりも降りて、あたりはすでに真っ暗である。
華やかなネオンが、路上近くまで輝いて、いかにも香港らしい。
ホテルの中は、大きな吹き抜けがアトリウムのように広がり、高級感をただよわせている。
エスカレーターで地下へ降りるが、吹き抜けのせいで地下という圧迫感がない。
橋を渡って、テーブルへと案内される。
ボーイさんの英語にひどい訛りがあり、聞き取りにくい。
それに、彼には食卓を盛り上げようという意気込みが感じられない。
中華料理は<何食うあるか?>でいいのだが、これだけの店になったら、サービスを考えて欲しい。
広東料理だが、料理の出が遅く、イマイチ感動しなかった。
ホテルのトイレには、年老いたボーイさんがいた。
用を済ませて、手を洗おうとすると、水を流してくれるし、ハンドタオルを手渡してくれる。
渾身でつくった笑顔が良い。
こうしたサービスは、もう消えていく運命にある。
気持ちよく、2香港ドルの硬貨を手渡す。
そのあと、男人街へと向かう。
昨日、女人街へ行ったから、今度は、男人街というわけだ。
特別に買うものもないし、夜店を冷やかして歩くだけ。
150香港ドルのチャイナ服に、袖を通してみた。
70香港ドルにまけろといったら、あっという間に引きはがされてしまった。
あまりに安い値段を言ったので、よほど腹に据えかねたのだろう。
男人街と尖沙咀のあいだには、大きな九龍公園がある。
ふつうは九龍公園の東側を走るネーザンロードを下るのだが、西側を歩いてみた。
九龍駅からの道にでて、シャトルバスの通り道にしたがって、ホテルへ戻ることになった。
すでに門の閉まった中学校の前をとおったり、海の音が聞こえるそばまで行ったり、だいぶ遠回りをして帰ってきた。
今回の旅行は、夜遅くまで歩きまわっている。
年寄りは早く寝るべきなのに、いつも午前様になって、ホテルへ帰る。
しかも、歩いて帰ってくる。
香港は夜が遅い。
いつまでも店が開いている。
香港は治安が良いから、深夜になっても歩いていられるのだ。
それに5人という老人パワーもあるかもしれないな。
海城街の前に出てしまったので、またもや地下道である。
夜遅いのに、地下道には1人の物乞う人が立っていた。
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