昼食を終えると、その後、楊貴妃が入ったという風呂がある華清池に案内された。
華清池の前は道路工事中で、大勢の人たちがスコップを使ったりして、ノンビリと働いていた。
中国では人海戦術が多いのだろう。
こうした労働が、兵馬俑をつくり、万里の長城を作ったのかと思うと、気が遠くなる。
我が国の土工と違って、彼らは作業着を着ておらず、みな思い思いの服装である。
中には背広姿の人も居る。
こうした様子はアジア中で同じで、作業着が普及している我が国が特別のようだ。
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この建物の中に楊貴妃の入った風呂がある |
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華清池も大きな観光地なのだろう。
大勢の中国人が来ている。
110元の入場料を支払って中に入る。華清池の中に入っても、あちこちで工事中である。
ここは今でも温泉が出ているようで、観光客でも128元の入浴料さえ払えば入浴できる。
按摩が50〜100元なのに対して、Concubine's Luxurious Bathing Pool が880元もする。
妾的贅沢とは、一体どんなサービスなのだろうか。
興味はあったが入浴はしなかった。
次は歴史博物館である。
ここは入場料も65元で、ぐっと地味である。
6千年前の生活を復元しており、いわばジオラマである。
竪穴住居のようだ。
外敵や動物の襲来を防ぐために、集落の廻りに堀を巡らしたり、さまざまな工夫をしている。
中国人観光客はほとんどいない。
先生に引率された小学校低学年の子供たちの集団に出会った。
彼(女)等は全員が首に赤いネッカチーフを巻いている。
ガイドさんによると、赤いネッカチーフは共産党員の子弟の証だという。
子供の頃から、徹底した特別教育を施され、エリートとして育てられていく子供たち。
様々な思いがかけめぐる。
見学を終えると、ミニバンが博物館の前に待っている。
それに乗り込んで、スモッグに煙る市内へ戻る。
お抱えミニバンは、見たいところへとピンポイントで連れて行ってくれる。
しかし、寄り道もないし道中のゴタゴタも無縁なため、街を見た感じが極めて薄いのも事実である。
台中で鹿港へとバスで行ったときのような、雑多な感じがなかったのは、ちょっと寂しかった。
ホテルでちょっと休憩の後で、夕食を食べようと街にでる。
北大街と東大街の交差点まで歩くが、飲食店が見つからない。
大飯店の看板はたくさんあるのだが、街の飲食店がないのだ。
この交差点は、中心に鐘楼(=ベル・タワー)という建物があり、その建物を取り囲んで大きなロータリーになっている。
そして、このロータリーから北に延びるのが北大街、南が南大街、西が西大街、東が東大街である。
南北・東西に走る大街は、名前の通り広い道である。
中央分離帯があり、道を歩いて横断できない。
道路の反対側に行くのには、地下の横断道路を通ることになる。
この地下道がなかなかに長いのだ。
それに渋谷の駅前交差点以上の人の多さ。
道路の横断が一仕事である。
飲食店を求めて、北大街から南大街へと歩くが、それらしき店は見当たらない。
遙か彼方にネオンが煌びやかな建物が見える。
あれではないかと思うが、もし外れたらどうしようと思うほど遠くに見えた。
勇を鼓して、歩き始める。
見上げるばかりに高いネオンの建物に近づくと、それらしき臭いがしてきた。
清真大寺のほうへと歩く。
にぎやかな通りにでた。
飲食店がありました。
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鐘楼のむこうに有名な餃子屋さんがある |
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西安の名物は餃子である。
どこの店も餃子を看板にしている。
暖気を逃さないためだろう。
どこの店も、分厚いビニールの短冊状のカーテンを下げている。
どこでも同じだろうと、そのカーテンを押して手近な店に入る。
ビニールのカバーの掛かったテーブルに座る。
十代と思われる可愛い女の子が、注文を取りに来る。
メニューは写真入りだから判りやすい。
各自がそれぞれに別々の餃子をたのむ。
羊の焼き肉を頼んだら、82元だけれど良いかと確認してくれる。
餃子が20元程度の中で、ひときわ高いので心配したのだろう。
やれやれ。
さーあ、ビールである。
我要酒、と書いて見せた。
すると、メイヨー(没有)と言いながら、国民不能喝、と書いてきた。
国民は酒を飲まないだって!
我々初老人一同は、飛び上がって驚いた。
中国人が酒を飲まないなんてことがあるのか。
イヤ、ないだろう。それとも外では飲まないといことか。
そう言えば、台中でもビールを手に入れるのには苦労した。
何と言っても、酒はないという一点張り。
ビールへの期待がしぼんでしまった一同は、心底ガッカリした。
餃子はドンブリの中に入って出てきた。
いわばワンタンのようで、ドンブリの中には野菜や肉などの具も入っている。
また餃子の中味もさまざまで、味付けが違うのである。
決して不味いわけではないが、我が国で食べているような焼き餃子ではないので、ちょっと違和感があった。
しかし、こうしたものだと思えば、何の問題もない。
美味しく食べた。
焼き肉は食べきれなかったので、我要持帰と書いたら、テイクアウトの用意をしてくれた。
もちろんドギィバッグなど洒落たものではなく、出てきたのは単なるビニール袋だったが…。
帰り道、コンビニに寄ってお酒を買ってきた。
歩道で踊りを踊っている人たちがいた。
30人くらいだろうか。
すでに夜だというのに、実に楽しそうだ。
ホテルに戻って、麻雀ができるかと聞く。
すると、同じ敷地内の別棟のホテルにあるという。
そこへと出向くことになった。
2階にいくと受付カウンターがあり、若い女性が対応してくれる。
廊下を曲がると、小さく区切られた小部屋がいくつもあり、そのうちの1つではカードなどを遊んでいる。
熱くなったらくし、大声が廊下まで聞こえてくる。
最初の部屋にあった麻雀台が、不調で部屋を変える。
ここにあるのは自動式の麻雀台なのだ。
中国ではハナパイを使うらしく、パイの数が多い。
麻雀台もそれに対応して、数の多い仕様になっている。
つまり、パイが下から上がってくる卓の切り口が、少し長いのだ。
何も西安まで来て麻雀でもないだろうと言いながら、麻雀をしながら西安の夜は更けていくのだった。
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