スラー・ターニーへ行く列車は、ヤーラ発バンコック行きである。
ヤーラは100キロほど南の街で、そこが始発である。
特別急行だったから、途中ではパッターニーにしか停まらない。
にもかかわらず遅れたのだ。
16:23 発の予定が、17:20 に書き替えられた。
次に 17:50 となった。
しかし、17:50 になっても列車は来ない。
聞いても、もう駅員さんは笑って答えない。
列車がやってきたのは 18:20 だった。
タイの列車はディーゼル機関車にひかれたものが多いのだが、この列車はディーゼルの列車だった。
すっかり暗くなったなかを列車は走る。
車中では簡単な食事がでた。
スラー・ターニーへは20:40 着の予定だったが、ほとんど23:00 になっていた。
駅舎には電灯がついていたが、駅前には何もなかった。
悪いことにスラー・ターニーは、駅と市街地がとても離れている。
スラー・ターニーへはバスにすべきだった。
しかし、後悔しても始まらない。
バイク・タクシーに街までと聞くと、タクシーの運転手を紹介する。
英語の話せない運転手は、500バーツと書いた紙を見せる。
他には交通機関はないのだから、交渉の余地はない。
深夜の道をスラー・ターニーへと走る。
飛行場からほどの不安ではないが、それでも良い感じはしない。
途中でガソリンを5リットルばかり給油して、街道に戻り街に向かう。
道路の両側に見える灯りが連続してきた。
どうやら街に入ったらしい。目指すホテルが目に入った。
ホテルの裏口へとタクシーはまわる。
ボーイさんが出てきて、予約の有無を聞く。
もちろん、予約はあると答える。
前金で500バーツを払えという。
すでにネットで支払いも済ませてあるというと、ID番号をいえという。
ID番号は控えてこなかったので、パソコンを貸してくれと言うと、フロントの女性はロビーを指さした。
ロビーの片隅には2台のパソコンがあった。
やれやれと思ってパソコンのスイッチを入れた。
ところが、2台のパソコンに対して、マウスが1ヶしかない。
1人で使うのだから1ヶあれば良いのだが、そのマウスが壊れておりパソコンに刺さらない。
USBタイプではなく、古いピンタイプのピンが曲がってしまっており、こじ入れようとしても如何としても入らないのだ。
パソコンは立ち上がった。かろうじてネットにもつながった。
しかし、マウスがないので、ポインターが動かない。
めざすページがなかなか出てこない。
シフトキーを押して悪戦苦闘しているうちに、やっと目指すページに到達した。
パソコンと闘っているあいだ、ホテルの人はスマホでネットのページを探していた。
ここでも若い人にはスマホが普及している。
彼らをパソコンの前に呼ぶ。
パソコンの画面に現れているID番号を見ると、ホテルの人たちはOKをだして部屋の鍵を渡してくれた。
部屋に入ると、もう寝るだけだった。
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