アンコール・ワットへ
2010.12.16−記
第1日目 シュムリアップまで ナイト マーケット
第2日目 アンコール・ワットへ アンコール・ワットの中へ
第3日目 昼食と市場と影絵
第4日目 アンコール・トム
第5日目 ロリュオス遺跡 西バライと民俗文化村
第6日目 再度、アンコール・ワットへ 雨中居のトップに戻る


第2日目−2   アンコール・ワットの中へ  

 アンコール・ワットは、そこら中で工事をしている。
まず、堀をわたる正面の橋というか、通路の左端で工事中である。
南国の強い日差しのなかで、身体を使うのは厳しい労働だろう。
暑い地域では、何ごともスローペースになるのは当然だ。
ゆっくりとスコップを使って、土を運んでいる。
このスコップは、日本とは柄の形が違って、真っ直ぐに伸びたスタイルである。
日本のように柄が直角になっているほうが、世界ではむしろ少ない。

 堀に浮かぶ蓮の花を見ながら、アンコール・ワットへと近づいていく。
本殿を囲んで、高い塀がめぐらされており、正面に入り口がある。
大勢の人が階段を上ったので、段石がすりへっている。
その上に木製の階段がかけてある。
正面入り口と言っても、思いのほか狭い。
2メートルあるかどうかだ。
この有名なアンコール・ワットの入り口が、こんなに狭いとは驚いた。
正面入り口の他に、左右に入り口があるが、こちらはもっと狭い。
2人が並べば、もう肩が壁に付きそうだ。

アンコール・ワットの中庭
外側をめぐる回廊
中庭にある建物

 門をくぐると、芝生の向こうに、おなじみのアンコール・ワットがみえる。
塀をふくめて全体をアンコール・ワットと呼ぶのだろうが、写真などでおなじみの遺跡は、正面に低く見えるものだ。
全体が広いので、遠くから見ると高さを感じない。
タージマハールを思い出すが、随分とイメージが違う。

 タージマハールがお墓であるのに対して、アンコール・ワットは寺院からだろうか。
たぶん、使われている石の材質の違いだろう。
タージマハールは大理石だが、アンコール・ワットは柔らかい砂岩である。
まず色が違うし、砂岩は長い月日では摩耗してしまう。
そのために、くすんだような感じを受けるのだ。

 正面中央の門からは、一直線に石敷きの廊下が伸びて、本殿へと導いてくれる。
途中、手摺りが壊れた廊下の左右には、対称的な位置に独立した小さな建物がある。
アンコール・ワットは現役の寺院らしく、ウコン色の袈裟を着た修行僧が、中庭を歩いている。
左手のほうには、僧院があるようだ。
本殿正面も工事中で、左右に廻ることになる。
ボクは左に回って、本殿にはいる。

 本殿は三重になっており、最初に入った部分は、まだ中央ではない。
その中庭では、韓国人の若い女性が、友人達の求めに応じてヨガのポーズをとっており、なかなかカッコイイ。
こちらも写真を撮らせてもらう。

 ちょっと階段で上り、高見に立つと、いよいよ本殿の中央である。
仏様が安置されていて、いくらか喜捨をして、お線香をそなえる。
すでに、1ドル紙幣がおかれて、暗にお賽銭が要求されているようだ。
しかし、喜捨するつもりがなければ、無視すれば良いのだから、この要求は悪い気はしない。

 1ドル紙幣の上に、現地通貨のリエル紙幣をおいた。
すると、そばにいた守り人が、リエル紙幣を一番下にまわして、見えないようにした。
ボクが彼の顔を見ると、にやっと笑った。
ドル紙幣を歓迎しているのだという。
そうだろう。
我が国でだって、1円硬貨ばかり並んでいたら、次の人も1円硬貨を置くだろう。
500円硬貨が置いてあれば、次の人も500円硬貨を置くに違いない。
しかも、貨幣価値のよく判らない外国人が多いとなれば、なおさらである。
2人でニヤニヤと笑ったのだ。

 世界に有名なアンコール・ワットだが、つまるところ石の固まりである。
表面にはレリーフが彫られてはいる。
しかし、何度か見れば、みな同じように見えてくる。
動くわけでもないし、興味をもって見続けるのは、なかなか大変なことだ。
ガイドブックには、レリーフそれぞれの意味が解説されているが、専門家ではないので残念ながら流し見である。

アンコール・ワットの内部
内部にある祭壇

 外の気温は、すでに30度は超えているだろう。
日向は暑い。
日陰を求めて、ゆっくりと歩く。
列柱を備えた回廊が、幾何学的なパースがかかって美しい。
レリーフは見事だが、同じパターンがくり返されて、だんだん飽きてくる。
全体の構造とか、色とか立体的なものには反応できるが、模様から意味を拾うのは難しい。

 東南アジアでは一般に、飲み水はペットボトルと言うことになっている。
ここシュムリアップでも、ペットボトルがおすすめらしい。
今回はお目付役がいるので、なるべく普通(?)の観光旅行にしよう。
現地の人も生水は、飲んでないようなのだ。
ということで、生水は飲まない。

 だいぶ歩いて、喉が渇いてきた。
左手のほうにある土産物兼喫茶店に行く。
喫茶店といっても、差し掛けの店がズラッと並ぶだけだ。
椅子はあるけど、テーブルはない喫茶店である。
多分、アンコール・ワット内だから、テーブルは禁止されているのだろう。
椅子に座って、椰子の実をもらう。

 椰子の実はおなじみ頭をカットして、ストローを差し込んだものだ。
ちょっと生温くて、ほんのり甘い。
これで1ドルである。
ここではペットボトルも1本1ドル。
場所によっては2本で1ドルだが、ここでは1ドル。
シルクを買え、絵はがきを買え、○○を買えと、女性や子供たちが寄ってくる。
しばらく休んで、また寺院に戻る。
 
 12時ちょうどに、朝、サマイと別れたところに戻る。
彼は着替えてきていた。
トクトクをまわしてくれる。
案内されたのが、広場の端にある観光客専用のレストランだった。
中では白人達が食事をしており、店の前ではトクトクの運転手がおおぜい待っている。
広告

次へ