アンコール・ワットへ
2010.12.16−記
第1日目 シュムリアップまで ナイト マーケット
第2日目 アンコール・ワットへ アンコール・ワットの中へ
第3日目 昼食と市場と影絵
第4日目 アンコール・トム
第5日目 ロリュオス遺跡 西バライと民俗文化村
第6日目 再度、アンコール・ワットへ 雨中居のトップに戻る


第3日目−1   昼食と市場と影絵  

 東南アジアの多くではトクトクの運転手は、観光客のはいる店には、立ち入り禁止であることが多い。
団体向けのPacific Hotelでも、トクトクは玄関前には立ち入り禁止である。
トクトクは車寄せの外側までしか近づけない。
同じように、このレストランは観光客専用なのだ。

 このレストランにサマイは入れるのかと聞くと、別のテーブルで食事するという。
それじゃ、食事を奢るといった意味がないじゃないか。
一緒のテーブルにつける処へ案内してくれという。
了解したらしく、トクトクは街に向かって走り始めた。

 アンコール・ワットのチケット発券所を過ぎる。
ダウンタウンまでいかいなうちに、左側に見えるレストランに入る。
左側は開放的な屋外に屋根だけのテーブル席。
奥に行くと、室内にテーブルが見える。
屋外のテーブル席に着く。

 アンコール・ビールをたのむ。
サマイもビールは好きだというが、少し口を付けて、コップに半分以上残している。
飲酒運転と締まりなどやっていないから、昼食からアルコールを飲む習慣がないのだろう。
大瓶のビールは3ドルだった。

 焼き飯、鳥の串焼き、スープ、それにカエルの炒め物をたのむ。
焼き飯はさっぱりしている。
油分を感じないし、アラビカ米がよくあっている。
味もいける。
夕べとは違って美味しい。
しかし、鳥はちょっとパサパサして、イマイチだった。
カエルは美味い。
各自がそれぞれの皿へととって、ご飯の上にかけて食べる。
最後にコーヒーを頼んで、全部で29.5ドル。
30ドルだして、わずかな残りはチップ。
充分に美味しかった。

市場の周囲にも店がある
市場の中央にある貴金属店
市場の中にある縫製屋さん

 さて、お腹もできたし、またトクトクに乗る。
今度は、市場に連れて行ってもらう。
国道6号線にでて、東に向かう。
ホコリっぽい道を、10分くらい走っただろうか。
右側にそれらしき屋根が見てきた。
2時間後に迎えに来てもらうことにして、市場の前でサマイと別れる。

 この市場は、現地の人たちが利用している。
観光客はまったくいない。
正面入り口から入る。
市場特有の匂いがただよっている。
クワなどの鉄製品が並んでいる。
金物屋さんだろうか。
もちろん衣類もある。
小さな店が、ごちゃごちゃとひしめいている。
その先は、貴金属を扱う店だ。
20〜30軒もあるだろうか。
こんな市場で、貴金属店とは、なんとなく違和感がある。
しかし、カンボジアにかぎらず、どこでも金細工は好きだ。
むしろ我が国が、あまり金に興味を示さないくらいだ。

 市場の大きな建物を抜けると、野菜関係が並んでいる。
そこでマンゴスチンを買う。
ナイフを借りて、その場で食べる。
白い実がなつかしい。
季節外れのせいか、水分が足りないような感じ。
なおも市場の内外を歩きまわる。
西側には肉屋さんが並んでいる。
この暑いのに、肉を保存しておくのは大変だろうと思う。
しかし、生肉をむき出しで並べている。

 カンボジアにかぎらず、途上国では冷蔵庫などないから、どこでも生肉がむき出しだ。
アラブに行けば、羊の頭がそのままゴロンと並んでいるし、もちろん肉の塊もむき出しである。
肉は貴重品のはずだから、腐らせるわけがない。
おそらく現地の人たちは、ボクたちに判らないように、腐らないような工夫をしているのだろう。

 サトウキビの屋台がある。
自然界には甘いものは少ないので、サトウキビは数少ない甘いものだ。
サトウキビを圧縮して、汁を搾りだす。
それを受け集めて、小さく砕いたカキ氷を入れて、サトウキビ・ジュースが出された。

 お目付役に飲ませても大丈夫だろうかと、カキ氷にちょっと躊躇があった。
サトウキビは問題ないが、氷をつくった水が心配である。
しかし、地元の人も一緒に頼んでいたので、大丈夫だろうと目をつぶった。
冷たくしても甘い。
強烈ではないが、かなり甘い。
1ドルである。
さっき買ったマンゴスチンを食べようとしたが、中が腐っていた。
ガッカリ。

 バイクで走ってきた親子が、貝を並べた屋台から、貝を買っている。
何だろう、と近づいてみる。
おまえも食べて見ろと、1つ手渡してくれる。
シジミのような1センチくらいの2枚貝で、貝を爪で開くと小さな肉がある。
それをそのまま舐めるようにすするのだ。
醤油で煮たような味がして、塩ょっぱいが、ご飯のおかずには良いだろう。
親子たちはバイクに乗ったまま、ご飯茶碗に一杯くらいを、ビニールの袋に入れて買っていった。
 
 サマイが迎えにくるまでは、まだ時間がある。
近所を歩いてみる。
国道から直角に、細い道を入っていく。
東南アジアのご多分にもれず、ホコリっぽい。
道路際はもちろん、すこし住宅地へ入っても、赤土がかわいてホコリとなって舞い上がっている。
それでも、国道6号線から少し離れると、ゆっくりと時間が流れている。
車を修理しているとなりでは、木陰でハンモックに揺れている人もいる。

チェスを遊ぶ男たち
カキ氷を制作中

 いました。
チェスをやっている。
男たちが車座になって、熱くなっている。
これも東南アジアの変わらぬ風景である。
韓国が近代化してしまったので、すでに路上ではやっていないが、他のアジア諸国ではどうだろうか。
最近は、東南アジアに行っていないので、判断つきかねるが、タイではまだやっているだろうか。
ベトナムではどうだろうか。
写真を撮らせてもらう。

 ずいぶん派手な建物だと思って近づくと、カラオケ・ホールだった。
夜になると、ネオンも点灯し、さぞにぎやかなことだろう。

 市場の荒物屋で、使用目的が判らなかったものがあった。
脚のついたカンナのようだが、刃がついてない。
その道具が使われている。
カキ氷をつくる道具だった。
刃は別売りで、カンナ台だけ買ってくるのだ。
金属の刃よりも、木製の台のほうが早く壊れるのだろう。
だから、台がたくさん売られていたのだ。

 再び国道6号線に戻る。
日差しがきつくて、日陰が欲しい。
暑い、とお目付役が弱音を吐く。
ブラブラと町歩きを続けるが、なかなか座るところがない。
ブランコのようなベンチがあったので、そこに座ってしばらく休む。
やがて、サマイが迎えに来てくれた。

 一時、ホテルに引き上げることにする。
トクトクが風を切って、国道6号線を西へとすすんでいく。
風が気持ちいい。
ホテルについて、サマイに10ドルを渡しながら、6時半に迎えにくるように頼む。

 部屋に荷物をおいて、プールへでも行こう。
水着のうえに、ガウンを着てプールへ向かう。
他に3人しか泳いでいない。
プールサイドで、コーヒーを頼む。
青い空。
わずかばかりの白い雲が、ゆったりと流れている。
ウトウトと、まどろむ。
シュムリアップはリゾート地ではない。
でも、リゾートの気分である。

 今夜は、影絵を見に行こう。
予約を取ってもらうと、ホテルの案内に電話を入れる。
予約は何とか取れたが、何で行くとか聞いてくる。
トクトクで行くと答えると、トクトクは責任持てないから、タクシーで行けという。
日本語ができる女性なのだが、実にしつこく、タクシーで行けと強制する。
余計なお節介だ。
この女性とは、明日また食堂で衝突することになる。

 ホテルの前に、トクトクがいる。
サマイは約束の10分前には、来ているようだ。
すでに薄暗くなった国道6号線を、また街のほうへと向かう。
12月だというのに、TシャツでOKの暖かさである。
 
 夜の街は、昼間とはまた違う顔を見せる。
しかし、シュムリアップは田舎町らしくて、喧噪が少ない。
引き込まれていくような不気味さもないし、多くの物乞いがウロウロしているというのでもない。
戦禍の跡は残っているが、それも見えにくくなっている。

 影絵は、「バイヨン・レストラン」で行われており、食事を楽しみながら影絵を見るのだ。
演じているのは、ボラン・ヴィチェット・グループというらしく、日本語で書かれた案内をくれる。
今夜の演題は、3話である。

影絵が終わりました
終わるとメンバーがご挨拶
 食事はカンボジア風であるが、ワイン・リストがでる。
チリの赤ワインが15ドル。
海老の春巻き、魚料理、サラダなど3品頼む。
どれも4ドルである。
ワインはでてきたけど、テーブルの上には他には何もない。
ガーリック・トーストはどのくらいでできるかと聞くと、5分かかるという。
2分でやってくれと急いでもらう。

 カンボジアでは頼んだものが出てくるのに、時間がかかる。
ずいぶんと待たされるのだ。
我が国がスピーディ過ぎるのかも知れないが、ワインだけでは間が持たないから、おつまみが欲しいのだ。
急いでもらったかいがあって、2分でガーリック・トーストが登場。
急いでくれてありがとう、とボーイさんを目一杯持ちあげる。
照れくさそう。食事はそれなりに美味しい。

 隣のテーブルには、白人の中年女性が来た。
1人だから、あとで連れが来るのだろうと思ったら、とうとう連れは登場しなかった。
食事が進むと、やがて影絵が始まる。
スクリーンの裏から電灯を当てており、原理はきわめて簡単なものだ。
話も勧善懲悪で、単純である。
しかし、電灯がなかった時代には、じゅうぶんな娯楽だったのだろう。

 今では電灯を使っている。
ひょっとすると昔はロウソクなどが、光源だったかも知れない。
おそらく影絵の一座は、村から村へと廻ったのだろう。
娯楽の少なかった時代、単純な仕掛けでも楽しみになったのだろう。
隣の白人女性はつまらなかったといっていたが、何だか涙が出そうな見せ物だった。
最後にメンバーが挨拶に並ぶ。みな若い人たちだった。

 トクトクにゆられて、ホテルに戻る。
途中で果物を買おうと、トクトクの前を叩く。
サマイが振り向き、了解の合図。
舗道上をUターンして、果物屋につけてくれる。
今夜食べるために、ランブータンをいくつか買う。
ホテルの前で、明日の朝、9時に迎えに来てもらうように頼む。
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