東南アジアの多くではトクトクの運転手は、観光客のはいる店には、立ち入り禁止であることが多い。
団体向けのPacific Hotelでも、トクトクは玄関前には立ち入り禁止である。
トクトクは車寄せの外側までしか近づけない。
同じように、このレストランは観光客専用なのだ。
このレストランにサマイは入れるのかと聞くと、別のテーブルで食事するという。
それじゃ、食事を奢るといった意味がないじゃないか。
一緒のテーブルにつける処へ案内してくれという。
了解したらしく、トクトクは街に向かって走り始めた。
アンコール・ワットのチケット発券所を過ぎる。
ダウンタウンまでいかいなうちに、左側に見えるレストランに入る。
左側は開放的な屋外に屋根だけのテーブル席。
奥に行くと、室内にテーブルが見える。
屋外のテーブル席に着く。
アンコール・ビールをたのむ。
サマイもビールは好きだというが、少し口を付けて、コップに半分以上残している。
飲酒運転と締まりなどやっていないから、昼食からアルコールを飲む習慣がないのだろう。
大瓶のビールは3ドルだった。
焼き飯、鳥の串焼き、スープ、それにカエルの炒め物をたのむ。
焼き飯はさっぱりしている。
油分を感じないし、アラビカ米がよくあっている。
味もいける。
夕べとは違って美味しい。
しかし、鳥はちょっとパサパサして、イマイチだった。
カエルは美味い。
各自がそれぞれの皿へととって、ご飯の上にかけて食べる。
最後にコーヒーを頼んで、全部で29.5ドル。
30ドルだして、わずかな残りはチップ。
充分に美味しかった。
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市場の周囲にも店がある |
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市場の中央にある貴金属店 |
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市場の中にある縫製屋さん |
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さて、お腹もできたし、またトクトクに乗る。
今度は、市場に連れて行ってもらう。
国道6号線にでて、東に向かう。
ホコリっぽい道を、10分くらい走っただろうか。
右側にそれらしき屋根が見てきた。
2時間後に迎えに来てもらうことにして、市場の前でサマイと別れる。
この市場は、現地の人たちが利用している。
観光客はまったくいない。
正面入り口から入る。
市場特有の匂いがただよっている。
クワなどの鉄製品が並んでいる。
金物屋さんだろうか。
もちろん衣類もある。
小さな店が、ごちゃごちゃとひしめいている。
その先は、貴金属を扱う店だ。
20〜30軒もあるだろうか。
こんな市場で、貴金属店とは、なんとなく違和感がある。
しかし、カンボジアにかぎらず、どこでも金細工は好きだ。
むしろ我が国が、あまり金に興味を示さないくらいだ。
市場の大きな建物を抜けると、野菜関係が並んでいる。
そこでマンゴスチンを買う。
ナイフを借りて、その場で食べる。
白い実がなつかしい。
季節外れのせいか、水分が足りないような感じ。
なおも市場の内外を歩きまわる。
西側には肉屋さんが並んでいる。
この暑いのに、肉を保存しておくのは大変だろうと思う。
しかし、生肉をむき出しで並べている。
カンボジアにかぎらず、途上国では冷蔵庫などないから、どこでも生肉がむき出しだ。
アラブに行けば、羊の頭がそのままゴロンと並んでいるし、もちろん肉の塊もむき出しである。
肉は貴重品のはずだから、腐らせるわけがない。
おそらく現地の人たちは、ボクたちに判らないように、腐らないような工夫をしているのだろう。
サトウキビの屋台がある。
自然界には甘いものは少ないので、サトウキビは数少ない甘いものだ。
サトウキビを圧縮して、汁を搾りだす。
それを受け集めて、小さく砕いたカキ氷を入れて、サトウキビ・ジュースが出された。
お目付役に飲ませても大丈夫だろうかと、カキ氷にちょっと躊躇があった。
サトウキビは問題ないが、氷をつくった水が心配である。
しかし、地元の人も一緒に頼んでいたので、大丈夫だろうと目をつぶった。
冷たくしても甘い。
強烈ではないが、かなり甘い。
1ドルである。
さっき買ったマンゴスチンを食べようとしたが、中が腐っていた。
ガッカリ。
バイクで走ってきた親子が、貝を並べた屋台から、貝を買っている。
何だろう、と近づいてみる。
おまえも食べて見ろと、1つ手渡してくれる。
シジミのような1センチくらいの2枚貝で、貝を爪で開くと小さな肉がある。
それをそのまま舐めるようにすするのだ。
醤油で煮たような味がして、塩ょっぱいが、ご飯のおかずには良いだろう。
親子たちはバイクに乗ったまま、ご飯茶碗に一杯くらいを、ビニールの袋に入れて買っていった。
サマイが迎えにくるまでは、まだ時間がある。
近所を歩いてみる。
国道から直角に、細い道を入っていく。
東南アジアのご多分にもれず、ホコリっぽい。
道路際はもちろん、すこし住宅地へ入っても、赤土がかわいてホコリとなって舞い上がっている。
それでも、国道6号線から少し離れると、ゆっくりと時間が流れている。
車を修理しているとなりでは、木陰でハンモックに揺れている人もいる。
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チェスを遊ぶ男たち |
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カキ氷を制作中 |
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いました。
チェスをやっている。
男たちが車座になって、熱くなっている。
これも東南アジアの変わらぬ風景である。
韓国が近代化してしまったので、すでに路上ではやっていないが、他のアジア諸国ではどうだろうか。
最近は、東南アジアに行っていないので、判断つきかねるが、タイではまだやっているだろうか。
ベトナムではどうだろうか。
写真を撮らせてもらう。
ずいぶん派手な建物だと思って近づくと、カラオケ・ホールだった。
夜になると、ネオンも点灯し、さぞにぎやかなことだろう。
市場の荒物屋で、使用目的が判らなかったものがあった。
脚のついたカンナのようだが、刃がついてない。
その道具が使われている。
カキ氷をつくる道具だった。
刃は別売りで、カンナ台だけ買ってくるのだ。
金属の刃よりも、木製の台のほうが早く壊れるのだろう。
だから、台がたくさん売られていたのだ。
再び国道6号線に戻る。
日差しがきつくて、日陰が欲しい。
暑い、とお目付役が弱音を吐く。
ブラブラと町歩きを続けるが、なかなか座るところがない。
ブランコのようなベンチがあったので、そこに座ってしばらく休む。
やがて、サマイが迎えに来てくれた。
一時、ホテルに引き上げることにする。
トクトクが風を切って、国道6号線を西へとすすんでいく。
風が気持ちいい。
ホテルについて、サマイに10ドルを渡しながら、6時半に迎えにくるように頼む。
部屋に荷物をおいて、プールへでも行こう。
水着のうえに、ガウンを着てプールへ向かう。
他に3人しか泳いでいない。
プールサイドで、コーヒーを頼む。
青い空。
わずかばかりの白い雲が、ゆったりと流れている。
ウトウトと、まどろむ。
シュムリアップはリゾート地ではない。
でも、リゾートの気分である。
今夜は、影絵を見に行こう。
予約を取ってもらうと、ホテルの案内に電話を入れる。
予約は何とか取れたが、何で行くとか聞いてくる。
トクトクで行くと答えると、トクトクは責任持てないから、タクシーで行けという。
日本語ができる女性なのだが、実にしつこく、タクシーで行けと強制する。
余計なお節介だ。
この女性とは、明日また食堂で衝突することになる。
ホテルの前に、トクトクがいる。
サマイは約束の10分前には、来ているようだ。
すでに薄暗くなった国道6号線を、また街のほうへと向かう。
12月だというのに、TシャツでOKの暖かさである。
夜の街は、昼間とはまた違う顔を見せる。
しかし、シュムリアップは田舎町らしくて、喧噪が少ない。
引き込まれていくような不気味さもないし、多くの物乞いがウロウロしているというのでもない。
戦禍の跡は残っているが、それも見えにくくなっている。
影絵は、「バイヨン・レストラン」で行われており、食事を楽しみながら影絵を見るのだ。
演じているのは、ボラン・ヴィチェット・グループというらしく、日本語で書かれた案内をくれる。
今夜の演題は、3話である。
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影絵が終わりました |
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終わるとメンバーがご挨拶 |
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食事はカンボジア風であるが、ワイン・リストがでる。
チリの赤ワインが15ドル。
海老の春巻き、魚料理、サラダなど3品頼む。
どれも4ドルである。
ワインはでてきたけど、テーブルの上には他には何もない。
ガーリック・トーストはどのくらいでできるかと聞くと、5分かかるという。
2分でやってくれと急いでもらう。
カンボジアでは頼んだものが出てくるのに、時間がかかる。
ずいぶんと待たされるのだ。
我が国がスピーディ過ぎるのかも知れないが、ワインだけでは間が持たないから、おつまみが欲しいのだ。
急いでもらったかいがあって、2分でガーリック・トーストが登場。
急いでくれてありがとう、とボーイさんを目一杯持ちあげる。
照れくさそう。食事はそれなりに美味しい。
隣のテーブルには、白人の中年女性が来た。
1人だから、あとで連れが来るのだろうと思ったら、とうとう連れは登場しなかった。
食事が進むと、やがて影絵が始まる。
スクリーンの裏から電灯を当てており、原理はきわめて簡単なものだ。
話も勧善懲悪で、単純である。
しかし、電灯がなかった時代には、じゅうぶんな娯楽だったのだろう。
今では電灯を使っている。
ひょっとすると昔はロウソクなどが、光源だったかも知れない。
おそらく影絵の一座は、村から村へと廻ったのだろう。
娯楽の少なかった時代、単純な仕掛けでも楽しみになったのだろう。
隣の白人女性はつまらなかったといっていたが、何だか涙が出そうな見せ物だった。
最後にメンバーが挨拶に並ぶ。みな若い人たちだった。
トクトクにゆられて、ホテルに戻る。
途中で果物を買おうと、トクトクの前を叩く。
サマイが振り向き、了解の合図。
舗道上をUターンして、果物屋につけてくれる。
今夜食べるために、ランブータンをいくつか買う。
ホテルの前で、明日の朝、9時に迎えに来てもらうように頼む。
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