サマイは9時に迎えにくる。
国道6号線を東へと、ロリュオス遺跡に向かう。
この遺跡は、市街地から少し離れており、トクトクは田園地帯を軽快に走っていく。
ゴルフ場入り口などがある。
こんなに貧乏な途上国でも、ゴルフをやる奴がいるんだな、と感心する。
ロリュオス遺跡には、プリアコー、バコンと、国道を隔てたロレイの3ヶ所がある。
遺跡のことはよく判らないボクだが、プリアコー、バコンは良かった。
この遺跡は、王様と后の墓らしく、棺桶が入っているという。
他の遺跡と違って、赤い石が使われている。
すでに摩滅が著しくて、石の角がみな丸くなっている。
遺跡は小さいながらも、緊張感のあふれる形で、静かに立っている。
団体のバスがいってしまうと、観光客もまばらで、暑さが戻ってくる。
そのなかを1人の白人女性が歩いている。
白いTシャツにコットンのパンツで、美しいスタイルを惜しげもなく太陽に晒している。
30代半ばだろうか。
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精神性を感じさせるプリアコー遺跡 |
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プリアコー遺跡の前には、土産物をつくっている工房がある。
子供から大人まで、石細工や木工作に余念がない。
石は仏像などのコピーをつくっている。
子供たちがノミを手に、コツコツと叩いている。
これで生計がたつのだろうか。何とも長閑な風景である。
木工作は、まずノコギリで材木を切り裂く。
木の塊を小さくするのだが、繊維にそって割るのではない。
あくまでノコギリで切るのだ。
ノコギリは弓張り式で、押して切るタイプだ。
ベトナムも押し切り型だったから、東南アジアでは、押し切り型のほうが優勢らしい。
カンナもあった。
取っ手がついているが、木台に刃を仕込んだもので、我が国のカンナと似ている。
バコン遺跡は、やや大きい。
手前から見始めて、そのまま裏へと抜ける。
トクトクなどは裏へと先回りしてくれるのだ。
遺跡からトクトクの待つ広場まで歩く。
途中でアリランが聞こえてくる。
地雷で脚をやられて人たちが、民俗楽器を奏でて、喜捨を乞うている。
韓国人達が来たので、アリランを演奏しているのだ。
日本人が来ると、日本の曲へと変わる。
エンターテインメントとの真髄を見せられる。
1ドル喜捨。
トクトクに乗って、国道の反対側にあるロレイ遺跡へと向かう。
すると、そこにプリアコーでみた白人女性が、1人でトクトクに乗っている。
すでに遺跡の見物は終わったようで、トクトクの運転手に先に行くように指示をして、自分は歩き始めた。
旅慣れた風情だ。
美しい白人女性が、稲穂の実ったアジアの細い道を、1人で歩いている。
小さな顔に、髪の毛をすべて後ろへ束ねてため、小さな顔が余計に強調されている。
白いTシャツが、ふくよかな胸を包んでいる。
白人特有の大きなお尻。
まるで映画に出てくるような風景で、じつに様になる。
残念ながら、日本人女性が1人で歩いても、あれだけの絵にはならない。
ロレイ遺跡は、僧侶達が生活している。
そのために、近所に生活が見える。
昼食時になったらしく、床に食事が並べ始められた。
僧院だが、女性が食事の準備をしている。
僧院の人と目が合うと、どちらともなくにっこりと笑う。
優しいアジア人女性の笑い顔だ。
遺跡を見終わると、ボクたちも食事である。
オールド・マーケットまで行こう。
クメール・キッチンで食事にする。
1人1皿で、各3ドル。
ビールやコーヒーを飲んで、合計16ドルである。
お目付役が、単独行動したいとのたまう。
それに従い、ここで1時間ほど自由時間とし、グラン・カフェの前で集合とする。
ボクもオールド・マーケットをふらつく。
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