アンコール・ワットへ
2010.12.16−記
第1日目 シュムリアップまで ナイト マーケット
第2日目 アンコール・ワットへ アンコール・ワットの中へ
第3日目 昼食と市場と影絵
第4日目 アンコール・トム
第5日目 ロリュオス遺跡 西バライと民俗文化村
第6日目 再度、アンコール・ワットへ 雨中居のトップに戻る


第5日目−2   西バライと民俗文化村  

 1時間後に集合。
今日の午後は、郊外の西バライに行こう。
飛行場の北西にある遺跡だが、人造湖の中央に小さな島があり、その島に残っている。
またトクトクの人となる。国道6号線を西へ向かう。
飛行場入り口を過ぎて、しばらくは知ると右折する。
細い道が北へと延びている。

 道がグッと坂になったところで、トクトクが止まった。
トクトクでは非力すぎて、この坂は上れないようだ。
サマイは手前の広場に、トクトクを止める。
あとは湖まで歩く。
道を登り上げると、堤防の上にでた。
目の前に水が見える。
舟が止まっている。
島まで15ドルだという。
ちょっと高いようだが、了承する。

 エンジン音も高らかに、舟は岸部をはなれた。
スピードを上げると、小島へと向かった。
小島というだけあって、小さな土の塊といった感じ。
それでも遺跡と小屋がみえる。
接岸もかんたん。
土に乗り上げただけだ。

 200メートルもあるだろうか。
朽ち果てた石の塀がわずかに遺跡の名残を伝えている。
少女とその弟だろうか、子供が3人と老女が1人いた。
向こうに見える集落に住んでいるとか。
学校が終わったので、お金を稼ぎに来ているのだ。
今日は3組目の観光客だという。
残念ながら、一銭の稼ぎにもならなかったようだ。
舟に乗る。
また市街地に戻る。

 ホテルの近くにある民俗文化村に行くことにする。
日本の民家園といったところだろうか。
回遊式となった敷地内には、それぞれの民俗をあらわす家が建っている。
その前では、民族衣装の男女が迎える。
そして、寸劇が始まるのだ。
観客の中から1人、ボランティアを選んで、舞台に上げる。

 韓国人の若い女性が選ばれた。
仲間らしい人たちから、どっと笑い声がおき、他からも励ましのヤジが飛ぶ。
なにせ韓国人旅行者は多い。
言葉が通じれば、笑いもおきようと言うものだ。
王女様役で、照れながらも、なかなか堂々と王様の脇に立っている。
クジャクが登場したり、ビジュアルにも意を用いている。
さまざまな国からの観光客がいるから、話はいたって簡単。
身ぶりだけで判るように仕立ててある。

 20分くらいだろうか。盛大な拍手のうちに演劇が終わる。
観光客は次の民家に移動していく。
すると、役者さん達も、次の舞台へと移動するのだ。
同じ役者さんが、次の舞台では違う役で登場する。
すべて観客参加型である。
あちこちに散在した民家を、次々に移動しながら、あたらしい舞台が演じられていく。
最後には、生きた牛が登場した。

 すでにあたり真っ暗。
ほとんど外灯のない、園内を出口のほうへと歩く。
足元が辛うじて見えるだけだが、舗装してあるので危険は感じない。
ネオンが見えて、素朴ながら、貴重な娯楽なのだろう。
カンボジアを知るのは良いが、2度目はもう足を運ばないだろう。
ディズニーランドなどを見ているボクたちには、なんともレトロな民俗文化村だった。

 ホテルが近いので、サマイはもう帰してしまった。
夕食を食べたいのだが、国道6号線に面してはレストランがない。
民俗文化村に附属したレストランはあったが、ビュッフェ・スタイルで1人12ドルだという。
学校の講堂のようなところで食事をするのか、と躊躇した。

 今夜は、ホテルで食事をすることにした。
歩道をとぼとぼと歩いて、ホテルに帰る。
道は暗い。
歩くのには不自由はしないが、足元に注意しないと、何があるか判らない。
それでもホテルまで10分くらいだったから、ノンビリと歩いた。

 途中での話。
政府の高官のパーティがあるらしく、軍の車が、といってもランクルといった4輪駆動車ばかりが、ずらっと歩道に駐車している。
その近くには、屈強で目つきの鋭い男たちが、トランシーバーを片手にたむろしている。
途上国というのは、どうして政府高官の力がこんなに強いのだろうか。

 先進国の政府のほうがもちろん強力だが、こんなに見え見えの権力行使はしない。
この集まり方を見ていると、とある政府高官の個人的な集まりのような感じで、公私混同っていうのじゃないだろうか。
そんな想像をしながら、歩道に乗り上げているランクルの脇をすりぬけた。

 ホテルに戻り、レストランに行く。日本語のできる女性が対応してくれる。
しかし、いかにも押しつけ的なのだ。
まず、入り口際のテーブルを指定する。
トクトクは責任持てないから、タクシーを使えと言ったときと同じように、客を指導するつもりなのだ。

 入り口際のテーブルは断って、奥の窓際のテーブルへとすすむ。
黒服のボーイさんが、素早くこちらの意図を汲んで、先に立って案内してくれる。
テーブルにつくと、女性がいろいろと解説を始める。
それがじつに押しつけがましい。
あたかも無知な子供に指示するような態度なのだ。

 悪意があるのではない。
それはわかる。
しかし、こちらは日本語しかできず、ボクたちは彼女を通してしか、意志の疎通ができないかの対応なのだ。
ボーイさんは押しつけないで、こちらの希望を聞こうとする。
だから、ボーイさんと英語でやり取りしたほうが、はるかにスムーズに話が進む。

 食前にビールを頼んだら、一度に2本も出てきてしまった。
大瓶かと確認されたので、そうだと答えた。
彼女は1人がそれぞれ1本の大瓶ビールを飲むと思ったのだろうか。
ここで、こちらも切れてしまい、以降、ボーイさんだけが対応してくれるようになった。

 今までの日本人観光客との対応から、彼女は彼女なりに学習してきたのだろう。
そして、現在の彼女の対応が、日本人には最適だという結論になったに違いない。
日本人達は自分の希望を言わないで、ガイドやホテルの人たちの言うとおりに行動している。
だから、彼女は自分の意見を強引に押しつけるのだ。
そうしないと、日本人の集団を統率できないのだろう。
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