第2日目
気持ちよく目が覚める。
外の喧噪は、6階の部屋までは届かない。
シャワーを浴びて、出発の準備。
すべての荷物を持って階下に降りていく。
このホテルは宿泊代に朝食が含まれている。
ブッフェ・スタイルで、コンチネンタル・ブレックファーストと言うのだろうか、パンに卵焼きなど一応そろっている。
驚いたことに、2人のベトナム人がテーブルについている。
ベトナム人も泊まっていたのだ。
前回、サパのヴィクトリア・ホテルに泊まっていたベトナム人もいたのだから、ここにベトナム人が泊まっていても奇異ではない。
ベトナム人の庶民も豊かになったのだろう。
あとは白人のカップルと、白人女性が2人である。
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ドンスアン市場の内部 |
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ドンスアン市場の男性用トイレ |
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ホテルを出ると、ドンスアン市場をめざして北へと向かう。
細々した商店の前を通り、板金をやっている店が並ぶ地区を通る。
ドンスアン市場の前に出る。
市場の北側へと歩くと、玄天古観というお寺を見つけた。
入ってみる。
ガードマンがいるが、何も言わない。
共産ベトナムでも、現在は宗教活動も認められている。
戦争時代を辛うじて生き延びたお寺には、今では多くの人がお参りしており、宗教の強さを思い知らされる。
小さな門だったが内部は広く、ちょうど読経の最中だった。
何枚か写真を撮らせてもらう。
ドンスアン市場は西側が衣類関係、東側が食料品関係であり、典型的なアジア的な市場である。
内部は3階建てで、中央に大きな吹き抜けがあり、エスカレーターも備えている。
市場の中には公衆トイレもある。
男性1ドン、女性2ドンで、この料金はハノイ中で同じだった。
男性用トイレは、壁にステンレス製の樋がついており、それをめがけて小用する。
途上国の市場で買うものはないが、市場のこの雰囲気が好きだ。
何処の市場も活気があるようでいて、売り子さんたちはノンビリしている。
昼寝している女性もいるし、荷物の隙間でフォーをすすっている人もいる。
膨大な物資の山だが、飛ぶように売れている感じはしない。
どうやって生計を立てているのだろうか、といつも心配になる。
が、屋外にまで店が並ぶところを見ると、やはり繁盛しているのだろう。
ドンスアン市場の東側つまり裏のほうへと廻る。
生鮮食料品が売られているので、特有の臭いがある。
ブラブラと歩いていると、女性の怒鳴る声が聞こえてきた。
女性同士の喧嘩だ。怒鳴り声が聞こえたかと思うと、2人は取っ組み合いを始めた。
20代半ばの若い女性と、50歳くらいの女性が路上で、罵声をあげながら殴り合いをしている。
喧嘩の原因は分からない。
若いほうが左手を大きくまわして殴りかかる。
年寄りも負けてはいない。
組み付いた。
すると若い女性が髪の毛をつかんだ。
髪の毛がばらけて、年寄りのほうが分が悪い。
しばらくすると、何人かが仲裁に入ったが、若い女性は仲裁の人たちにも食ってかかる。
こんなダイナミックな喧嘩を見たのは久しぶりだ。
途上国は生の肉体がぶつかり合っていると言うことか。
公安が飛んでこなかったのは、ちょっと意外だった。
写真を撮ろうとも思ったが、なぜか躊躇してカメラを向けられなかった。
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市内を走る線路 |
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喧嘩も納まったようなので、東河門へと向かう。
東河門を抜けたところでお茶する。
他の人たちが飲んでいるように、ビア・トゥーイを頼む。
すると、落花生がつまみに付いてきた。
道路の反対側では、3人の床屋さんが営業中である。
お客さんは1人に集中している。彼はセンスがいいのだろうか。
近くのバス停から、ホアンキエム湖までバスに乗る。
夕べ、ロールス・ロイスのファントムが停まっていた所だ。
ここが終点。
ホアンキエム湖を巡りながら、前回に泊まりたかったヒルトン・ホテルに向かう。
前回泊まったメトロポールの前を通る。
メトロポールの前には、シトロエンのトラクシオン・アバンが2台停まっていたが、あれは前回もあったような気がする。
ヒルトン・ホテルのあたりは大きな歴史的建造物が多く、高級な街並みを作っている。
ボクの泊まった旧市街とは随分と雰囲気が違う。
ヒルトン・ホテルに泊まることはできないが、せめてお茶でもしていこう。
イタリアン・カフェを頼んだら、珈琲味の柔らかいアイスクリームだった。
暑さの中で、とても美味しかった。
近所にある革命博物館に行くが、お昼休みである。
ちょっと早いけど、仕方なしに革命博物館のレストランでお昼を食べる。
屋外におかれたテーブルは、ベトナム人たちが占領している。
近所の会社に勤めるサラリーマンたちだろうか。
ラコステの黒いポロシャツを揃えたボーイさん(ガールさんも)は、みな若い。
これからの国だと感じさせる。
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