王宮は堀に囲まれ、門のところで55ドンの入場料を払う。
王宮は800メートルくらいの正方形で、門のすぐ後ろにある太和殿から中庭へと広がっている。
一部壊れているが、おおむね良く保存されており、修復もなされている。
世界遺産に指定されていることも納得である。
中国との共通性を感じるが、いくらかベトナム風の美意識も感じさせる。
広い中庭を、観光客がノンビリと歩いている。
日本人観光客の一団がやってきた。
20人くらいの集団で、相変わらず忙しない歩き方だ。
ボクは赤い建物の下で、中庭をぼんやりと見ている。
人が切れるのを見計らって、シャッターを切る。
華奢なベトナム女性が多い中では、白人女性の体格の良いことに驚く。
丸太のように太い胴体をTシャツで隠し、丸々と肥った四肢をニュッと顕わにした白人女性たち。
自立心に溢れた彼女たちには、いささかの迷いも躊躇いもない。
アジアを歩きながら、彼女たちは何を考えているのだろうか。
随分とノンビリした。
また自転車に乗って、王宮の裏側にまわる。
田舎町だけあって、喧噪はそれほどでもないが、どこに行ってもオートバイが走っている。
王宮を一周して、また橋に戻ってきたが、今度の橋はフォーン河にかかる2本のうち上流のものだ。
こちらのほうが狭い。この橋を渡って、新市街へと向かう。
新市街といっても超高層ビルが建ちならんでいる訳ではない。
せいぜい10階建てのビルが数えるほど建っているだけだ。
それにしても、古都と言われるだけあって、立派なホテルが多い。
我が国でホテルの話になると、すぐ稼働率などといったことになる。
随分と暇そうに見えるけど、こちらではどうなのだろうか。
夕方になってきたので、市場などを廻って、一度ホテルへ戻る。
シャワーを浴びて、ロビーでネットをつかう。
最終日はサイゴンだが、ボクの旅行はいつも最終日は、その街の最高級ホテルに泊まることにしている。
今回は、マジェスッティクに泊まりたい。
そこでネットで予約を入れようと言うわけだ。
ネットは非常に便利だ。それは確かだ。
しかし、海外のネットでは日本語がつかえないことが多い。
ハノイのホテルでは日本語のブラウザーが入っていたが、メールを使おうとすると日本語が打てなかった。
このホテルではブラウザーも英語かベトナム語で、日本語のサイトはすべて文字化けしてしまう。
日本語が世界語になる可能性は、ほぼゼロだろうから、英語を使わざるを得ない。
残念ながら、英語が世界言語なのだ。ごまめの歯ぎしりである。
マジェスッティク、サイゴンで検索をかけると、一発で出た。
ホテルのサイトをチェックした後、Agoda のサイトに行ってみる。
すると420ドルの部屋が、108ドルにディスカウントされている。
これに決定。
すぐに部屋が取れたとのメールが返ってくる。
Gmail は便利である。
どこでも送受信できるから、マジェスッティクの予約完了が居ながらにして確認できる。
予約バウチャーをプリントして作業終了である。
世界中で高級ホテルは、どこでも400ドルくらいはするので、それが100ドルとは安くなったものだ。
直前の予約だから、投げ売り状態なのだろうか。
不思議なことにホテルの予約は、代理店を通したほうが安い場合が多い。
ネットとカードがあれば、世界中を旅行できる。
何と便利な世の中になったことか。
サイゴンのホテルが決まったから、夕食に行くことにする。
地球の歩き方からタムキーというヤギ肉料理屋を選ぶ。
ヤギ肉は珍しいし、地元の人に人気だと言う。
場所が判らないので、ホテルの人にシクロの手配を頼む。
住所を書いたメモを見せると、シクロは50ドンだという。
タクシーよりも高いと思いながらも、ホテルの人が言うのだからと、そのまま了解して走り出す。
暗い夜道をシクロは進む。
行けども行けども暗い街並みである。
随分と走ったろうか、暗いなかにボンヤリと灯りのついた店に着いた。
シクロの運転手は、その店の看板に書かれている住所を指さして、指示された場所だという。
確かに住所はあっている。
しかし、タムキーはない。
しかもこの店は、レストランではない。
聞いてみると、住所が違うという。
|
札に興じる老女−足でお札を押さえている |
|
シクロの運転手は、タムキーの住所を確認して、また走り出した。
今度はホテルのほうへと向かっている。
昼間、自転車で走った場所である。
何度か聞き聞きしながら、目的地に着いたが、タムキーはない。
ホテルの門番がフラフラしていたので聞いてみると、タムキーは引っ越したという。
引っ越し先を知っているかと聞いても、知らないと言う返事。
シクロの運転手は、どうも文字が読めないようだ。
場所は大体判るので、あとは歩くことにしてシクロに支払いをする。
50ドンというのは、1時間の料金だったらしく、彼は大感謝の様子である。
道路の反対側には定食屋があったが、勇んで出かけてきた今夜は、定食屋に入る気分ではない。
辺りは暗くて、他に食堂はない。
ホテルの門番と喋っているうちに、何となくホテルの食堂に行くことになってしまった。
ガランとした食堂で、美味くもない夕食を食べる。
門番は行ってしまうし、散々な夕食になった。
暗い夜道をトボトボとホテルに向かう。
途中でハノイ・ウオッカを買う。
ホテルで明日のバス・ツアーの予約を頼む。
王宮から庭園住宅と郊外の3つの廟をまわって、フォーン河をボートで帰ってくるというものだ。
朝8時半から夕方4時半くらいまで、ガイドと昼食付きで10ドルである。
ただし施設の入場料は別に各自負担。
そのあと、イータオ・ガーデンというフエ王宮料理店に行きたいので、予約を入れてもらう。
ダナン行きのバスの予約も頼む。
公営のローカル・バスと民間のオープン・ツアー・バスとある。
ローカル・バスは市内のバス発着所まで行かなければ乗ることができない。
オープン・ツアー・バスなら、ホテルまで迎えにくる。
現地を知るためにローカル・バスの情報も欲しかったのだが、ホテルの女性はローカル・バスなど論外という顔をしている。
彼女に押し切られて、オープン・ツアー・バスに予約を入れた。
途中で買ってきたハノイ・ウオッカを飲みながら眠りに落ちる。
このハノイ・ウオッカ、クセがなくて美味い。
|
|