ハノイ→サイゴン
2011.6.10−記
第1日目 ハノイ再訪 ホアンキエム湖
第2日目 女性の喧嘩 水に当たる
第3日目 Google Hotel 阮朝王宮
第4日目 ツアー・バス 白人女性のタフさ
第5日目 ダナンへ サイゴンへ
第6日目 中国将棋 雨中居のトップに戻る


第4日目−2  白人女性のタフさ

 午後は、ミンマン帝廟、カイディン帝廟、トゥドゥック帝廟とまわる。
それぞれに特徴があり、3つ見ても飽きない。
いずれも木造のため、時代が枯れた風情を作りだしている。
ベトナム戦争で爆撃を受けただろうに、よく残ったものだと感心する。
すでにベトナム戦争から50年もたっているので、戦争の名残はない。

カイディン帝廟
トゥドゥック帝廟
トゥドゥック帝廟
トゥドゥック帝廟

カードに賭ける女性たち

 これらの廟は市内から随分と離れている。
しかも山地にあるので、自転車ではなかなか難しい。
しかしである。
ここまで自転車で来ている白人のカップルがいる。
それも1組ではなかった。
ボクが会っただけでも2組いたから、他にも自転車組がいるのだろう。
暑い中、大した根性である。

 ミンマン帝廟でトイレに入る。
男女別に分かれた男性トイレは、なお大小に分かれている。
大のほうに入ると、トルコ式のしゃがむ形式で、隣に水をためた水槽がある。
そこから手桶で水を汲んでお尻を洗うのである。
紙を使うときは、近くにあるポリ桶に捨てる。
もちろん用が済んだら盛大に水を流すのである。

 洋式便器も随分と普及している。
しかし、しゃがみ型のトイレを使ってきた人たちは、洋式便器のように太股が便器に触れるのを嫌うのだろう。
そのため、洋式便器は便座が土色に汚れていることが多い。
これは便座の上に土足でしゃがむからに違いない。
気持ちは分かるが、いかにも不安定で大変だろうと思う。

 トゥドゥック帝廟で写真を撮っていると、仲間から取り残されてしまった。
集合時間は判っているので、なお1人で粘って写真を撮っていると、係の男性が本堂の写真を撮れと言う。
そこには撮影禁止と書かれており、おかしいなと思いながらシャッターを押した。
すると寄付の箱を指さして、お金を入れろという仕草。
つまりワイロの要求である。
お金はないというと簡単に諦めた。

 1人旅のアメリカ人女性から、写真を撮ってくれと頼まれる。
今回とくに感じたのは、白人女性たちのタフさである。
自分の体重くらいの荷物を背負って、彼女たちは男性と同じように、1人で貧乏旅行をしている。
キッと顔を上げて、気の強そうな様子である。
これがフェミニズムの生みだした女性たちだろう。
どうしても我が国の優しい女性たちと比べてしまう。

 Dragon Boat でフォーン河を市内へと戻る。
茶色く濁ったフォーン河はゆっくりと流れ、30分くらいで市内の船着き場に到着した。
ここで解散である。
ガイドがベトナム語で挨拶すると、拍手が沸いた。
次が英語で挨拶があり、ボクには別れ際に<ありがと>と言ってきた。

 ホテルへの帰り道、4人の女性たちがカードをやっている場面に遭遇する。
しばらく眺めて写真を撮ろうとすると、大声で拒否されてしまった。
お金を賭けているからだろう。
しかし、すでにしっかりと撮ってしまっていたのだ。
ぶらぶらとホテルへ向かう。
途中、5〜6人の人だかりにであう。
そのなかに6本指の男がいた。
30歳くらいの彼は、右手の親指の脇から、やや細い指がもう1本はえていた。

  現代の我が国でも、多指の人は生まれている。
我が国で多指者を見ないのは、本人の意思を無視して、出産直後に外科手術で切断してしまうからだ。
ベトナムは途上国である。
途上国では手術に多額の費用がかかる。
多指であっても手術することなく、そのまま成人する。
豊臣秀吉が多指だったと言われているように、かつての我が国もそうだった。

 多指は生活に支障があるのだろうか。
出産直後の性別のスクリーニングによって、性別を取り違えられてしまい、思春期になって困っている人がいる。
性分化疾患者は2千人に1人の割合で生まれるという。
本人の意思を確認することなく、肉体に手を加えるのは良いことなのだろうか。
多指者を見て、ちょっと深刻になる。

 ホテルに戻って、シャワーを浴びる。
郊外にあるイータオ・ガーデンへ行くために、タクシーを呼んでもらう。
昨日のタムキーとは違って、今度はちゃんとあった。
静かな住宅地に佇むイータオ・ガーデンは、隠れ家風の門に2人のボーイさんが立っている。
裕福な家庭をレストランにしたと思われるイータオ・ガーデンは、王族に仕えていた先祖が伝える王朝料理を出すという。

 イータオ・ガーデンという名前の通り、美しい庭には電灯がともり、幽玄な雰囲気である。
室内と庭とはほとんど高低差がなく、室内がそのまま庭に連なっている。
風情は良いのだが、蚊もやってくる。
入り口に近いテーブルのは、白人のグループがいた。
隣のテーブルへ、アジア人のカップルがやって来た。
日本人かと思ったら韓国人だった。

 フエ料理といわれるように、フエの王宮料理は有名である。
ところで、肝心の味だが、これがイマイチなのだ。
7品のコースだけだというのは良いとしても、何か頼りない味である。
繊細だから頼りないというのではない。
味が洗練されておらず、昔のままの粗野な味なのである。

 茹でた海老に、ちょっと臭いを感じた。
おそらく鮮度が低いのだろう。
もし、これを王族たちが食べていたとしたら、今日の庶民は何と贅沢な食事をしていることか。
フエでもワインを作っているらしい。
飲んでみるがイマサンくらいの味だった。
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