ハノイ→サイゴン
2011.6.10−記
第1日目 ハノイ再訪 ホアンキエム湖
第2日目 女性の喧嘩 水に当たる
第3日目 Google Hotel 阮朝王宮
第4日目 ツアー・バス 白人女性のタフさ
第5日目 ダナンへ サイゴンへ
第6日目 中国将棋 雨中居のトップに戻る


第1日目−2   ホアンキエム湖  

 ベトナムでは宿帳はないのだが、ホテルにパスポートを取り上げられてしまう。
ベトナム人だとIDカードを取り上げられるのだろうか。
夜の10時を過ぎて、ベトナム人が外国人と一緒にホテルの部屋にいると、警察に通報されるのだとか。
人間の管理に神経質なのだ。

 圧倒的に増えたオートバイに驚きながら、ホアンキエム湖の南岸を歩く。
市人民委員会や公園の前を通りすぎ、ハノイ駅に向かう。
おそらくこの方向だろうと、当たりを付けて歩く。
だんだん記憶が戻ってくる。
12年前も、こうして駅まで歩いた。
前回はラオカイからサパへの夜行列車だったが、今度はフエに行く夜行列車の切符を買うのだ。

ハノイ旧市街

 ハノイ駅は昔と変わらず、やや垢にまみれた感じで、ちょっと古くなっている。
かつては外国人専用の窓口があって、ベトナム人との二重価格だった。
現在では外国人も同じ料金になった。
そのため、外国人用の窓口はそのままガラス張りの事務室になり、女性の係員が座っていた。

 夜11時に出発するサイゴン行き夜行列車には、2等椅子席、1等椅子席、ハード寝台、ソフト寝台とある。
2等椅子席は我が国の4人お見合い式と同じ。
1等椅子席はリクライニングするソファタイプの椅子席。
ハード寝台は板に薄い布団があるだけ。
ソフト寝台は柔らかいベッドに布団がある。
今回の旅行ではケチらないと言っても、やっぱりボクは貧乏性なのだと思う。
ハード寝台のチケットを買ったのだから。

 ハード寝台には値段が3種類あって、3段ベッドの一番下が安く、一番上が安い。
窓口の女性が一番上は止めろといって、一番下を薦める。
すなおに薦めに従って、一番下の682ドンというチケットを買った。
団塊男、ベトナムを行く」を読み直してみると、ラオカイ行きは一番上に乗ったらしい。
背中が伸ばせないと書いてある。
乗車して判るのだが、窓口の女性の薦めに従ったおかげで、下の段では頭がつかえるくらいで、ほぼ首は伸ばせるので良かった。

 明日の切符を買ったら、また街に戻る。
ふらふらと寄り道しながら、ホアンキエム湖をめざして街を歩く。
すでに暗くなってきた街は、節電中の我が国よりずっと暗い。
でも、街を歩くだけなら、充分の明るさである。
途中で夕食を取ることにする。
テントには「CO’M」(=ご飯)と書かれている。
定食屋さんである。
3品ほどみつくろって椅子に座ると、ボールに盛られたご飯と一緒に運ばれてくる。

  ビールをたのむ。
運ばれてきたのは、ビアハノイ。
瓶ビールである。
隣の人もビアハノイをのんでいる。
安い生ビールのビア・トゥーイは、もうないのだろうか。
おそらくハノイ人の収入が上がって、瓶ビールになったのだろう。
街で見かけるビア・トゥーイは少なくなっていた。
ハチの子のような虫の煮たのを食べてみるが、あまり美味しくない。
しかし、充分に満足して食事を終える。

ホテルのロビーにある仏壇

 すでに街の道筋はだいたい思いだしたので、ホテルの方向めざして気ままに歩く。
ホアンキエム湖畔にでるが、将棋をやっている人は誰もいない。
どうしたことだろうか。
このあたりは観光客が多く、いつも人通りが絶えない。
日本人が歩いていることは少ないが、白人たちはゆったりと散歩しながら、異国の夜を楽しんでいるようだ。

 ホアンキエム湖の北側には、公衆トイレもあるし、バス停がある。
このあたりはちょっと広くなっており、喫茶店のようなものが、広場を取り巻くように建っている。
そのうちの1つに入って、お茶をする。
ベトナムの珈琲はバリ珈琲とも違う独特の味で、慣れるまでちょっと抵抗がある。

 喫茶店の前には、何とロールス・ロイスのファントムが路上駐車されている。
しかも二重駐車である。
黒塗りの堂々としたプロポーションは、何処から見ても高級車である。
窓廻りには幅広のクロームメッキがまわり、いやが上にも乗る人を選びそう。

 停まっているのでフライング・エンジェルはない。
喫茶店のマスターがエンジンをスタートさせると飛びだしてくる、と自慢げに説明してくれる。
「あなたの?」
と冷やかすと、真面目な顔をして否定した。

 こんな高級車が、なぜハノイにあるのだろうか。
共産党の幹部が乗るにしては、シックさが不釣り合いである。
ファントムは銀のスプーンをくわえて生まれてきた者のための車で、ベンツやセルシオのように誰にも似合う車ではない。
しかも、お抱えの運転手が乗っているはずで、路上駐車をする車ではない。
運転手が乗っていないとは不思議である。

 夜が更けても、オートバイは走り続けている。
ハノイがこれでは、サイゴンはどうなっているのだろうか、と思いながらホテルに向かった。
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