S:28 |
コンピューターがたくさん並んでいる豪華なマンションの一室。松井潤一郎の職場。 |
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小松原章 |
潤一郎が来ないが、どうした? 電話でもあったか? |
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西川良太は、コンピューターをいじりながら、 |
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西川良太 |
いやなにも。へんですね。あいつが出てこないなんて。コンピューターだけが生きがいのやつが。
今まで、休んむなんてことなかったのにな。
あれ、おかしいな、ここどうしたんだろう? 兄貴、こりゃ、途中で止まります。なんかしかけたな、潤一郎のやつ。 |
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CRTに、○○を入れて下さい、という文字が現れる。西川良太、CDを捜す。1〜3までの通し番号のCDを順に入れる。2がない。 |
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西川良太 |
潤一郎のやつ。仕上がっていたんだな。2がないと、動かないじゃない か。
(独り言)あいつ、CDを持って、ふけたな。 |
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西川良太が、コンピューターやCDをかき回しながら |
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西川良太 |
兄貴、潤一郎は、なんか完成させていた見たいです。 |
小松原章 |
ほんとうか! はしるのか? |
西川良太 |
(コンピューターをいじりながら)潤一郎がいないと判らないですが、ど うも、できているみたいですね。CDが1枚なくなっているんで
す。 |
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小松原章 |
潤一郎に電話してみろ。 |
西川良太 |
はい。 |
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西川良太は松井潤一郎に電話をする。でない。 |
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西川良太 |
へんですね、やっぱりでませんよ。ちょっと見てきますよ、兄貴。 |
小松原章 |
潤一郎のアパートの鍵は、この前コピーしたから…。それで、潤一郎をつかまえてこい。 |
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西川良太が、鍵を取る。 |
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S:29 |
松井潤一郎のアパート。西川良太が、松井潤一郎のアパートへはいる。内部は、ほとんど何もなく、生活感がない。きれいに整頓されている。西川良太は、室内の電話を取る。 |
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西川良太 |
兄貴、潤一郎はいません。 |
電話(小松原章) |
夕べ帰った感じか? |
西川良太 |
いえ、わかりません。 |
電話(小松原章) |
そうか。あいつにダチがいたか? |
西川良太 |
あいつの相手は、コンピューターだけですからね。付き合いのある奴な んて、誰もいませんよ。 |
電話(小松原章) |
女は? |
西川良太 |
あいつに女なんかいませんよ。 |
電話(小松原章) |
そうだったな。 ここにもいないし、そこにもいないということは、なんかあったな。
すこしあったてみろ。 |
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西川良太 |
わかりました。 |
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西川良太は、机の中を捜しまわる。CDはない。机の上にあったアルバムをぱらぱらとめくる。そこから松井潤一郎の写真を一枚ぬき、ポケットに入れる。 |
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