団塊男、中国を歩く    雲南地方から広州へ  
2000.12.記
01.川崎から昆明へ 02.昆明の街にて 03.石林往復 04.大理:下関と古城
05.景洪へ飛ぶ 06.景洪からのバス旅行 07.昆明へ戻る 08.南寧から憑祥へ
09.欽州から広州行き 10.大都会の広州では 11.Kさんと広州 12.帰国すると


12.帰国すると

 翌朝、Kさんを誘って飲茶にいく。
今朝は泊まっている新亜大酒店ではなく、Kさんが推薦する近くのレストランである。
いよいよ今日で、この旅行も最終日となってしまった。

 お茶はポーレイ。
これは僕の好みである。
茶碗洗いの儀式がすむと、僕は通りかかったワゴンから蒸し物をもらう。
焼売も美味しそうだ。
カウンターにある黒 い鶏の足のはいった小鉢を取る。
それはゆで卵と生姜それに鶏の足を煮込んで、甘酸っぱく味付けしてある。

 中越国境の埔塞で食べたあの鶏の足先ある。
枯れ木のようにだらんと下がった鶏の足が、真っ黒い色をして小鉢の中に入っている。
じっくり煮込んであり、 軟骨が柔らかくなっている。
生姜の味も染みており、甘酸っぱさが何ともいえず不思議な味である。
ところで、鶏の足は日本からの輸入品だ、とKさんは言う。

 日本人は鶏の足や頭がついたのを嫌うので、店頭にだす前に切り落としてしまうのだそうだ。
そのため膨大な数の鶏の足だけが売れ残り、それを中国に輸出しているのだとか。
太めの鶏の足は日本産だと見て間違いない、とKさんの言葉が続く。
中国産は地面の上で運動をさせているから、鶏の足も細いのだそうである。

 中国では鶏の足や頭を捨ててしまったら、市場の店頭での買い物でも大騒ぎなるという。
何を美味いと感じるか、それは教育のせいなのだろうか。
わが国は工業製品を輸出して、農産物は日本の輸入専門かと思っていたので、奇妙な感じに襲われる。

 のんびりとした朝食も終わり、Kさんと別れる。
1人で近所を散策する。
歴史的建造物に指定されているホテルもある。
大きな建物にはその建物の竣工年月日が刻まれており、このあたりは広州でも古い地区であることがよく判る。

 孫文先生の名前を付けた病院が、ひときわ新しく大きな建物で目立つ。
しかし、表通りからちょっと中へはいると、古い都市共同体の建物がたちならぶ。
昔の生活がそのまま続いている。
まったくの下町だが、ここにも再開発の流れがくるのだろう。

 新亜大酒店にもどり、チェックアウトの準備をする。
僕の荷物は少ない。
小さなリック一つ、それにカメラの入った手提げ、それだけである。
このホテルはと ても感じが良かった。
働いている人たちも、皆にこにこしているし、シーツだって清潔で気持ちが良かった。
Kさんではないが、また広州に来ることがあたら、 このホテルに泊まろうと思う。

 新亜大酒店 広州市人民南路10−12   電話 8188−4722

 掛け布団をきちんとなおしてから、忘れ物がないか確認して部屋をでる。

 チェックアウトは、どこでも同じである。
宿泊客が午前中に荷物を持ってフロントに行けば、することは決まっている。
何も言わなくても用事はわかる。
カードはないかと聞かれる。
これがわからなかった。
何度かジェスチャーが行き交って了解する。

 このホテルでは客に鍵を渡さない。
鍵は階の係りが持っており、客の顔を見て部屋の鍵を開けてくれるのである。
鍵の代わりに宿泊証明の意味なのだろう、チェックインの時にカードを渡されたのだ。
そのカードのことだろうと思う。
部屋においてきたというと、フロントの人は部屋係に電話して確認する。

 保証金を返してもらう。
360元の宿泊料金にたいして、500元払ってあった。
140元が返ってくる。
この140元で飛行場までのタクシー代と、空港使用税の90元を支払うつもりだったから、手持ちの人民元を使い果たしてしまったのだ。
ホテルの人にタクシー代を確認すると、30元以下だというので、一安心である。

 空港まで26元で着いた。
この飛行場はすでに知った場所なので、余裕で行動できる。
まず、90元の空港使用税のチケットを買う。
チケットは簡単に買え た。
チケットをチェックする場所があり、そこが混んでいて長い列ができている。
みな大きな荷物を持っているので、列はひどく長い。ゆっくりと列が進み、やっと僕は中にはいった。

 来たときと同じ日本エアシステムである。
JD234便は、定刻を10分遅れて飛び立った。
しかし、関空には定刻に到着。
入国審査。
手荷物だけの僕は、すぐに通関もおわる。

 関空の清潔さに圧倒される。
手摺りといわず、扉といわず、天井といわず、とにかく清潔なのである。
しかも、建物の施工精度がすこぶる高い。
部材と部材は ピッタリとくっつき、まったく隙間はない。
平行なものは平行で、垂直なものはあくまで垂直である。
それはまるでSF映画にでてくるようだった。

 この感覚は羽田に着いても変わらない。
とにかく隅から隅まで、ぴかぴかつるつるカッチーンなのである。
夜10時を過ぎているにもかかわらず、街はどこも 非常に明るい。
清潔そのものの街、それが今のわが国である。
そして、人々が身つけている衣類は、見るからに高価そうだ。
生地や仕立ての良いのが一目でわか る。

 路線バスだってきれいだ。
埃に染まっているなんてことはあり得ない。
バスの窓ガラスも全然くもりがない。
羽田空港から川崎駅まで路線バスにのる。
ワンマンバスの料金は360円で、広州市内のホテルから空港までのタクシー代と同じだった。
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